就職「新」氷河期--親も知らない就活の真実
あのときに比べたら、ましなのだろうか。
1990年代末、バブル崩壊のつめ跡が残る中、山一証券、北海道拓殖銀行が破綻。リストラの嵐が吹き荒れ、企業の新卒採用中止が相次いだ。99年度の大卒求人倍率(リクルートワークス研究所調べ)は0・99倍と、1倍を割り込む。就職を希望する学生数に求人数が達しない異常事態だった。
就職氷河期--。行き場を失った若者は、フリーターになり、非正規雇用の現場に身を投じた。10年後、「年越し派遣村」の悲劇を生む。
数年かけて倍率2・14倍まで戻った矢先、リーマンショックが起きた。2010年、11年採用は求人が激減した。それでも11年採用は1・28倍。一般有効求人倍率0・47倍(09年)に比べれば、大学生は恵まれているともいえる。が、就職活動する学生の焦燥感は、“表面倍率”では説明がつかない。
「偽装留年」。1社も内定が出ないまま卒業が迫る中、もう1年、学生として就活を続けるための落第が増えている。この10月から“就活2周目”に突入した4年生も多い。
実は、1・62倍だった10年採用では、驚くべきことが起きていた。大卒求人倍率の基になる求人数は、企業が採用開始当初に立てた「見込み計画数」だ。10年はそれが73万人弱だった。ところが、この年の最終的な採用実績は60万人強で終わったとみられる。その差12万人。希望数45万人に対する“実態倍率”は約1・35倍だったことになる。
これほどの乖離が生じた背景にあるのは、前年に内定切りが社会問題化したために、企業が内定を出し渋ったこと。採用活動中に業績がさらに悪化し、やむなく中断したこと。そして、「厳選採用」の潮流だ。