――今回の関係改善は持続するだろうか。
来年には第二次世界大戦終戦70年を控えている。このこともあり、戦争への関心は高まるだろう。こうした中、安倍首相がどれほどの対価を払う心積もりでいるかに、日中の関係改善はかかっている。歴史認識の見直しに熱中するのをやめたり、さらには、先の戦争に関して中国へのお詫びの気持ちを表明する(expressing full atonement)などして、歴史問題のあら探しを終わりにすれば、中国はいっそう正常な関係に向けた動きを続けるだろう。
そうではなく、安倍首相が、靖国神社に参拝したり、歴史認識の見直しに関する発言をしたりすれば、習主席は、中国国内での圧力に抗せなくなり、反日ナショナリストという交渉カードを使う誘惑を止めることは難しくなる。
「歴史認識の見直し」は控えるべき
――日本国内で、中国との関係改善に向けて後押しをしているものは何だと思うか。
中国との関係を改善しようとする日本側のきっかけは、ここ2~3年で両国の関係が、接触がほぼゼロというところにまで悪化したことにある。両国間の緊張は戦後最高レベルになった。偶発的な軍事衝突が起こり、それが悪化する可能性への懸念がある。この緊張は、日本と中国とのビジネスにとってもマイナスの環境を作っている。
――会談時、習近平国家主席の安倍首相に対する態度は明らかに冷めていた点が気になるが。
習主席と安倍首相との間には、明らかに、親近感がまったくなかった。明らかに、仕事でしかなかった。あの態度をみると、中国が安倍首相を回避しようしていると思うかもしれないが、日本も中国もお互いに関係の安定化に興味をもっている。
歴史認識の見直しに関して日本が公式な表明をすると、中国政府としては反応しない訳にいかない。そのため、尖閣諸島に対しては異なる見解を持つという点には同意しつつ、歴史認識の見直しの発言を封印すれば、両国の関係正常化は徐々に進むと考えている。
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