ただし、日本の一般家庭でこれを厳格に守るのは難しいと思います。たとえば、厳密に言えば、調理器具や食器にもルールがありますし、料理にお酒が入っていてもダメです。
ですから、日本人がハラルのお弁当を作る場合、個人的には存在が見えないようになっていれば、良いのではないかと思います。たとえば日本の家庭では調理にみりんやお酒を使いますし、カレールーなどに豚由来の成分が入っていることも多いものです。こういうものをすべて無くすのは難しいでしょうから、せめて目に見えるところでは避けて欲しいと思います。それから、お弁当を子どもは交換して食べることがありますから、交換しないように注意しておくことです。
――マレーシア人を家に招く場合も同じでしょうか。
マレーシア人の中でもハラルに厳しい人と厳しくない人がいます。たとえば、料理に入っているアルコールは成分が飛んでしまうので構わないと考える人たちもいますから、特定の人を招く場合には、個別に聞いてみたら良いと思います。
厳しい人だと、日本人家庭の調理器具や食器も使えません。そういうときには、ハラル認定のレストランからケータリングするか、食器を使わないで出すことです。実際に、中華系の家庭に招かれたときに、クッキーや落花生などの乾きものを食器なしに出してもらうことがあります。スーパーマーケットには、ハラルでないものが売られていますから、マークを見て買い物したほうがいいかも知れません。
プレゼントにも思いやりが大事
――日本からお菓子などのお土産を渡すときの注意はありますか。
原材料を見て、動物の油が入っていたら、やめたほうがいいかもしれません。また動物由来のゼラチンやレシチンなども避けるようにします。マレーシア人は外国の食べ物にとても興味があるので、本当は食べてみたいのです。ただし安心してないと食べられない人もいることは知っておいてください。通常は、日本のお菓子の裏の原材料が読めません。ムスリムにあげるなら、安心な材料で作られていることを一言添えてあげたらいいかも知れません。チョコレートでも、安心できない場合があるのです。
――年に一度のラマダン(断食)のときに配慮することはありますか。
断食中のムスリムは昼間飲食をせずに過ごしていますから、わざわざ彼らの目の前で食べたり飲んだりする必要はないですよね。これは思いやりの問題だと思います。
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