マレーシア、「移住前に知っておくべきこと」 住んでいるのはどんな人たちなのか

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――インド系、中華系のマレーシア人と付き合うときに、最低限気をつけていることはなんでしょうか。

インド系の方の場合、ヒンドゥー教では牛は神聖な動物とされています。ですから、僕もインド人と一緒のときには、牛肉は出しませんし、牛の話題も避けます。先日のハリラヤ・ハジ(犠牲祭)のお祭りで牛を食べましたが、こういう話題をインド系の友人の前ですることは避けていますよ。

中華系の場合、タブーはあまりないかも知れませんが、中国正月のようなお祭りのときに暗い色の服を着ていかないなどの配慮はしています。

――そのほか、学校で気をつけることはありますか。

イスラム教徒は頭をとても大事なところだと考えていますから、頭を叩いたりするのは、冗談であってもいけません。タブーです。

――マレーシアではポルノは禁止ですよね。日本の雑誌や本の持ち込みについてはどうでしょうか。

日本に行ったときに、青年誌の表紙に水着の女性が写っているのを見て驚いたことがありますが、こういうものは、マレーシア人に見せないほうがいいでしょう。イスラム教もそうですが、キリスト教の人にもこういったものに大変厳しい人がいます。タバコやお酒の広告も禁止です。

自分のペースを押しつけない

――日本人がマレーシア人と何かを進めて行く上で気をつけたほうがいいと思うことはなんでしょうか。

マレーシア人はせっかちに物事を進めるのが好きではありません。そして相手のペースで仕事を進めます。ところが日本人には、自分で仕事を依頼してきたのにも関わらず「早くしてほしい」とせかす人が多い。すると頼まれたほうは、「自分で頼んで来たのに、なぜ急がせるんだ」と不満に思うのです。お願いするときは、丁寧な言葉で、世間話をしながらゆっくり進めると、思った以上に協力してくれるはずです。

――日本と違うところですね。

それから、日本人には、何かにつけて『日本ではこうです』『日本では常識ですよ』と日本と比較する人が多いです。これにマレーシア人はカチンと来ます。日本にも、郷に入れば郷に従えという言葉がある通り、違う国に住むのならば、その国の常識から考えないと衝突してしまいます。これは別にマレーシアに限ったことではないでしょうが。

――学校でも同じですね。

教育が目的で来る場合はなおさら、その国の人の考え方を学ぶと良いと思いますね。英語だけなら、日本の英語学校で学んだほうがいいと思います。けれど、日本で英語を学んで、一体どこで使うのかは疑問です。日本の考え方のままで、言葉だけ英語になってもあまり意味がないでしょう。

――マレーシアでは多様性が大きなキーワードですね。

将来、子どもが世界のどこで活躍するかわからないというグローバル化の時代ですから、マレーシアは学ぶのにとても良い環境だと思います。そして心を開けばマレーシア人はすぐに友達になれると思いますよ。

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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