年配社員は「絶滅種」IBM"年齢差別"文書の中身 競争力強化へミレニアル世代との入れ替え指示

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元従業員が年齢差別を告発していること対して、IBMは「組織ぐるみで年齢差別に関与したことはない」としている(写真:David Paul Morris/Bloomberg)

IBMの元従業員は近年、さまざまな法的手続きや報道機関を使って同社の年齢差別を告発してきた。ライバル企業に後れを取らないよう、何千人という年配従業員を若者に置き換える取り組みが進められていたというのだ。

そしてここに来て、年配従業員の割合を引き下げる議論にIBMの首脳陣が直接関与していたらしいことがわかってきた。

アメリカ連邦地方裁判所が2月11日に公開したそれまで封印されていた文書には、経営陣が競合他社に比べミレニアル世代の割合が低いことを不満に思い、年配従業員を段階的に減らす計画について話し合っていたことが示されている。

経営トップの直接的関与が明るみに

この文書は、IBMが従業員の年齢を引き下げる取り組みを長年続けていたとする訴訟から明るみに出たもの。こうした取り組みに対する同社経営陣の役割を示す直接的な証拠が初めて公になった格好だ。

この訴訟で原告側の弁護士を務めるシャノン・リスリオダン氏は次のように話す。「これらの文書は、IBMの経営トップが、ミレニアル世代の従業員のためのスペースをつくるために、年配従業員を追い出すことを明確に企てていたことを明らかにしている」。

リスリオダン氏は、同様の訴えで数百人の元IBM従業員の代理人を務めている。その一部では集団代表訴訟を模索しているが、裁判所はまだこれを認めていない。

IBMで広報を担当するアダム・プラット氏は、「IBMが組織ぐるみで年齢差別に関与したことはない」と語り、同社の慣行を擁護した。「解雇は事業環境と特定スキルに対する需要の変化を受けたものであり、年齢が理由ではない」。

次ページ年配従業員を若い層に置き換える明らかな戦略
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