前向きな救済所「シブヤ大学」が今求められる訳 リスキリング圧力感じる大人はどう学ぶべきか
大澤:自分の関心を深掘りするのは孤独な作業でもありますが、面白いところですよね。自分自身を探索した結果、実は楽器ではなく、音楽が持つ癒やし効果について興味があったのかと発見することもあります。
起業や社会貢献だけなく、このように、自分で授業を1つ作ってみるということも、主体的・能動的に行動することになるでしょう。誰かが作った授業に参加している人が、「これなら私にも作れそう」と感じて、作る側に回ってくれたら嬉しいですね。
人生100年時代となると、常に新しいことを学ばなければならないという意味で、プレッシャーを感じるかもしれません。でも、大人になってからの学びは自由で、必ずしも成果を出さなくてもいいと思っています。仕事に直結するスキルに限らず、楽器を弾くことも、趣味を楽しむことも含めて、学びになります。自分を知り、自分を大事にすることと近いと思っています。
こうした私たちの考えは、『ライフシフト2』で言うところの「人間的スキル」に近いものだと考えています。これはある意味、デジタル技術などのスキルよりも、人生に大きな意味をもってくるスキルだと思っています。
「自分たちが作っている」という実感を持てるか
深澤:コロナ禍で、「不要不急のものはいらない」と言われましたが、「シブヤ大学」のような学びの場は、不要不急なのか、ということもよく話しましたね。学びは、余暇にやるものと思われがちです。でも、コロナ禍での活動を通じて、緊急事態の時にこそ、学んだり、誰かと会話したり、一見ムダと思われることこそが大事なのだと、強く感じました。
大澤:自分たちが生きている社会を、自分たちで作っているという実感を持てるほうが、絶対に楽しいと思うのですが、学生の頃に感じたように、日本では、社会問題や政治、選挙の話というと、堅苦しいイメージがあります。
最近は、学びのためには、働き方が変わらなければ難しいとも感じています。忙しくて時間がなければ、学ぶことはできません。だからこそ、気軽に無料で参加できる「シブヤ大学」という場が必要とされているのだとも思います。これからも、実感を持てる社会にすこしでも近づけるように、学びの場を作っていきたいですね。
(構成 泉美木蘭)
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