前向きな救済所「シブヤ大学」が今求められる訳 リスキリング圧力感じる大人はどう学ぶべきか
私たちは、いわゆる「地域貢献」をスローガンの第一に掲げるような組織ではありません。あくまで「自分のために」自身の課題解決に取り組むことが、ひいては「社会のため」につながるという考え方で活動を行っています。
また、「シブヤ大学」には、いったん仕事を辞めて次のキャリアを考えている方や、少し立ち止まってゆっくり考えたいという方が参加されることも多いです。そんなとき、「年齢や肩書を気にせず話せる場があってよかった」という言葉をいただくことがあります。
他者に役立つ「なにかができる自分」でなければ、必要とされないのではないか。そうした価値観の中で生きていると、それが苦しくなることも当然ありますよね。所属や肩書にとらわれずに、気軽に参加できる場がある。そのことが、ものすごく必要とされているのだと思います。
大澤:そこは、無料であるというポリシーにもつながりますね。コロナ禍で失業した方、生活が苦しく学びを受けられない方もいるかもしれませんし、誰もが気軽に来られる場所でありたいと思っています。
子供食堂や介護施設のような場所は、支援する人と支援される人が分かれています。でも、学びの場としての「シブヤ大学」には、その構図がありません。どんな方にも開かれていて、「支援を受けに行く」のでなく、「自分から学びに行く」という、前向きな救済所のような一面があります。
支援が必要な方を特別に対象にしているということはないのですが、無料で開かれた場だからこそ生まれるものがあると信じて活動しています。
話したい課題を安心して話せる場所を持つ
大澤:私と深澤さんは、大学入学直前に東日本大震災が起きています。私は、沖縄に関心があって観光学部に入学したのですが、非常事態に観光を通して何ができるのだろうと悩みました。
被災地の話や原発問題などについて誰かと話し合いたいと思っても、大学の友達との飲み会では、なかなかそういったトピックは持ち出せません。暗黙のうちに、政治的な話題がタブーになっていることに、もどかしさを感じるようになりました。それが、はじめて社会問題に関心を持ったきっかけです。