前向きな救済所「シブヤ大学」が今求められる訳 リスキリング圧力感じる大人はどう学ぶべきか

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大澤:20~30代に共通しているのは、社会人になってから、「職場の自分」として過ごす時間が長くなり、自分個人を主語にして考える時間が減った生活になりがちだということです。

このままじゃいけないと感じたときに、肩書や役職から離れ、素の自分、一個人として関心のあることを考え、深められる場になればと思っています。

渋谷という場所に意味がある

大澤:シブヤ大学は、2006年の設立当初は、お洒落な街・渋谷に集まる若者たちから生まれたサブカルチャーのひとつという見え方でした。しかし、オンラインが当たり前となった今、休日にわざわざ渋谷まで出てきて、誰かと話したり学びたいことってなんだろうか、と改めて考えたんですね。

趣味の講座も大切ですが、実は「話したいけど、周囲に話せる人がいない」という学びのテーマがあるのではないか。家族、キャリア、社会問題などについて、近すぎるコミュニティではなく、渋谷という場所で、多様な人と話し合える場があることこそが価値になるのではないか。そう考えて、2020年にリニューアルしました。

特に、誰でも何歳でも無料で学生登録でき、無料で講座を受けられるという点には、こだわっています。普段の肩書や利益とは離れて、等身大の自分で、楽しむ場でありたいからです。

深澤:個人と社会のつながりというのも、活動の中心となるテーマです。自分のことを考えていたとしても、引いて見ればその自分も、社会を構成している一員である。自分がモヤモヤを感じていることが、実は、社会課題につながっているのかもしれません。

例えば、ジェンダーの問題などがわかりやすいと思います。若い女性だからという理由で、発言が対等に受け取られずにモヤモヤとしている人がいたとしますよね。

そのことを抱え込まずに誰かと話すことで他の人にも共通する問題だと気づけたら、自分のモヤモヤを社会課題として捉えなおすことができるかもしれない。その結果、個人の悩みで終わらずに、そもそも社会の側から「変えていかないとね」と考えていくきっかけになることもあるのだと思います。

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