前向きな救済所「シブヤ大学」が今求められる訳 リスキリング圧力感じる大人はどう学ぶべきか
卒業後、イギリスに留学しました。すると、恋愛の話と同じレベルで、みんなが「パリで起きたテロについてどう思う?」「シリアの難民の受け入れについては?」などと、社会問題について普通に話していて、衝撃を受けました。自分の考えを持っていてすごいなと思いましたし、当たり前に社会についての話ができる光景がうらやましくもなりました。
日本では、難しい光景だと思いながらも、誰もがフラットな教室の中でなら、安心して話せる場所を作れるかもしれない。そう感じて、教育の分野に興味を持つようになりました。
帰国後は、沖縄で、高校生向けに学びの場を作る仕事をはじめました。誰もがフラットに意見を交わせる場を作りたいと思い、高校生だけでなく、地域の大人も一緒に学ぶというオープンクラスを企画したのですが、その時に、大人がすごく楽しんでいることに気づいたのです。
こういった経験から、「シブヤ大学」でも、大人になっても楽しく学び続けられる場、社会問題について安心して話せる場を、いろいろな人たちと一緒に作っていきたいと考えています。
深澤:私は大学に入学してからは、サークルに入って、バイトして、飲み会をして、といわゆる普通の大学生活を送っていたんですが、大学1年の冬のある日、クリスマスのイルミネーションを眺めながら「私はこのままでいいんだろうか。いや、ダメだ」とふと考えてしまったんですね。
震災後ということもあり、ボランティアや社会的な活動に参加している友人が周りに多かったことも影響しているのだと思います。
大澤:それでサークルやバイトを全部辞めたんですよね(笑)。
自分の言葉で話している感覚がなかった
深澤:はい、スッパリ全部辞めました。とは言え、何かやりたいことが具体的にあるわけではなかった。たまたま先輩に誘ってもらって鳥取県の過疎地域でインターンをしたことをきっかけに、地域活動やまちづくりに対してアンテナが立つようになりました。
「シブヤ大学」の存在もその流れで知り、インターンとして入りました。大学卒業後、すぐにシブヤ大学で働くことも選択肢にはあったのですが、シブヤ大学に関わる人の多くが会社員であることから、まずは会社組織で働く人の気持ちを知りたいと思い、一般企業に就職しました。