『星の王子さま』で知られる作家・サン=テグジュペリの名言に「愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである」というものがある。これは愛に関する言葉だが、組織における、社員同士の関係性にも通ずる話なのかもしれない……と、庄子さんの話を聞くなかで筆者は感じた。
「目標達成のための会議はどの会社もしていると思います。でも、”お客様”を主語にしている会社って、そう多くはないと思うんですよね。正直、1回目に弥生に入社した時は『物事が遅い』とか『承認が必要』みたいなことは『正直、めんどくさいな』って思ってましたけど(笑)、でも、出戻りの障害にはなりませんでしたね」
仕事や転職を通してさまざまな会社を見てきた庄子さんだからこそ、説得力のある言葉だと感じた。と同時に、「顧客第一主義」のこれまでとは違う側面を見た気もした。
「同じ方向を向く」ことで組織は良くなる
昨今、企業がMVV(ミッション・ビジョン・バリュー。組織の使命、理念、行動指針のこと)を策定することは、かなり浸透してきている。だが、庄子さんの話の聞いて感じるのは、たとえ明言しなくとも、「自分たちが目指すもの」や「事業の目的」が、仕事をするうえでの判断基準や、社員同士のコミュニケーションの中に根付いている企業は強いのだろう、ということだ。
もちろん組織や事業を継続するために売り上げや利益が重要なのは言うまでもないし、「顧客を第一に考える」という、当たり前で単純に見えることが「言うは易く行うは難し」なのも間違いない。だが、顧客のことを考えた先に、「社内に流れる、よい空気感」や「社員同士の仲の良さ」、そして「社員が出戻りしやすい環境」が副次的に得られるのであれば、それはとてもいい組織状態なのではないだろうか。
どんな組織や環境にいると働きやすいと感じるのか、筆者自身も改めて考えるきっかけとなった。
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