「E社は若い営業社員が多くて、マーケティングよりも個人の営業力に強みのある会社でした。自分が入った部署も、最初は社内における離れ小島的な場所でしたが、新規事業の形が出来上がるにつれ、立ち上げから拡大の時期に移行し、徐々に営業の社員が増えてきました。それはそれで面白さもあったのですが、自分が強みとしていたデジタルマーケティングよりも、営業販売力をいかして事業を拡大していく方針になり、少し、自分が描いていた状況と乖離していると感じるようになったんです」
これが転機となり、40歳を間近に迎えるタイミングで、今後のキャリアについて考え始めた。
転職を考える中で、直前まで在籍していた弥生の存在が選択肢のひとつにあがった。その背景にあったのは、退社後も元同僚たちと交流が続いていたことだ。
「定期的に連絡を取って仕事の情報交換をしたり、ランチに行ったり、飲みに行ったりしていました。元上司からはよく『戻っておいでよ』とも言われていましたが、冗談半分で聞いていました」
また、それだけでない繋がりもあったようだ。
「すごく印象的だったのが、会社に弥生の人たちから年賀状が届いたんですよね。しかも、手書きでメッセージが書いてあって。年賀状は、他の元いた会社からもあったけど、手書きは弥生だけでした。きっと、社内にいるメンバーでハガキを回して寄せ書きしてくれたと思うんです……まあ、雑多な感じでしたけどね(笑)」
照れ隠しの言葉が最後に添えられたが、実際、手書きの年賀状をくれる会社が珍しいのは間違いない。
その後、元上司に弥生への出戻りも考えていると伝えたところ、元上司が本部長を交えた食事の席を設けてくれ、「いいんじゃない?」という軽い一言で、再入社が決定した。普段からよく連絡を取っていたため、とくに緊張することもなく、元上司たちもあっさりした様子だったという。
「でも、話がスムーズに進んだのは、自分が辞めたあとも後任の採用がうまくいっていなかったからだと思いますよ。自分のポジションが空いたあと、ずっと採用をしている話も聞いていたので……」
謙虚な口調でそう述べた庄子さんだったが、ここで、インタビューに同席していた社員が口を開いた。
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