「弥生は新しい販売戦略として、デジタルプロモーションを強化していく最初のタイミングでした。その戦略を聞いて、自分の経験を存分にいかせるだろうと感じると同時に、歴史のある会社というイメージがあったので、自分のキャリアとしてもいいバランスになるだろうな、と考えていました。今と違い、当時は奥まったところにあるビルの中に会社があって、オフィスもこぢんまりとしていて、いい意味で庶民的だなって思ったのを覚えています(笑)。真面目そうな印象を受けましたね」
そうして弥生に入社して2年半が経過した頃、転職の声がかかったという。経緯はこうだ。
「声をかけてくれたのは、4社目の会社の同僚でした。当時は注力していた新製品のマーケティングも一段落して、ある程度、仕事を運用する型ができ上がっていた時期。自分の部署にいた新卒で入社した社員が、自分の仕事を任せられるくらいに成長してくれて、ひとり立ちできるようになっていたのもあって、”やりきった感”があったんです」
当時、庄子さんは転職する予定はなかったが、彼の話を聞き、仕事内容や社風が面白いと感じたそうだ。
「自分は過去の転職のほとんどが、元同僚だったり、取引先からのお誘いなんです。誘っていただけるのは光栄ですし、自分は何をやるかよりも”誰とやるか”を重視するタイプなので、その時も誘いを受けることにしました。ただ、弥生からは『せめて繁忙期の間はいてほしい』と言われたので、引き継ぎをしてから、半年後に退職しました」
筆者はこれまで、さまざまなビジネスパーソンに取材してきたが、「絶対にこれがやりたい……ものはとくにない」人は、意外とよくいるものだ。そして、やりたいことがなくても、引く手あまたの人も存在する。庄子さん自身は謙虚な語り口だが、実際、IT業界で豊富な経験を持ち、責任者経験もある彼のようなキャリアの人を欲しい企業は少なくないだろう。
「やりきった感」で転職するも…
そんな庄子さんが転職したE社は、人材関連の企業。少人数の、新規事業立ち上げの部署に入った。だが、仕事を進めていく中で、社風が合わないと感じるようになったという。
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