世界的な「食品価格高騰」が起こす社会不安の顛末 農業大国の干ばつや悪天候、情勢悪化も要因

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2020年4月〜2021年12月の期間に大豆の価格は52%、トウモロコシと小麦の価格は80%上昇。コーヒーも、主にブラジルの干ばつと冷害の影響から70%値上がった(写真:Bloomberg Creative Photos)

グローバルなサプライチェーン(供給網)の混乱や天候不順、エネルギーコストの上昇により、食品価格が世界中で高騰している。食品の値上がりは世界各地の貧困層に大きな負担となっており、社会不安に火をつけるおそれがある。

国連食糧農業機関(FAO)が先日公表した1月の世界食品価格指数は2011年以来の水準に上昇。2011年といえば、食品の高騰がエジプトやリビアで政変の一因となった年だ。肉類、乳製品、穀物の価格は昨年12月から軒並み上昇しており、食用油の価格は統計が始まった1990年以来で最高となっている。

ピーターソン国際経済研究所の上級フェローで国際通貨基金(IMF)の首席エコノミストを務めたこともあるモーリス・オブストフェルド氏は、食品価格の高騰は貧困国の住民の収入を圧迫すると語る。中でも、食費が収入の50~60%を占めることもある中南米やアフリカの一部地域では深刻な影響が出るという。

世界的な食料危機の足音

オブストフェルド氏は、世界的な食料危機が近づいているといっても「過言ではない」と話す。停滞する経済と高い失業率に、新型コロナ対策費の膨張による各国財政の逼迫が重なり「悪条件が完全に整った」という。「社会不安への多数の懸念材料が広範囲に見られる」。

世界の食品価格は、コロナ禍となる以前からすでに上昇傾向にあった。中国でアフリカ豚熱(ASF)の被害が広がったり、アメリカとの貿易戦争を受けて中国がアメリカ産農作物に報復関税を課したりしたためだ。

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