高梨沙羅に謝罪文を書かせたのはいったい誰か 無自覚な「良い、悪い」のレッテル貼りが苦しめる
番組も藤井アナも視聴者も、今回は「良い」というレッテルを貼っているだけで、その図式に気づいていません。むしろ「日ごろから他人に『良い、悪い』のレッテルを貼ることをやめるべき」ということを発信する人が増えなければ、現状を変えることは難しいでしょう。
一方、「めざまし8」の谷原章介さんは、「『気にしなくてもいいよと言えば言うほど苦しんでしまうかな』と思うと、『僕たちはどうすれば彼女のことを癒してあげられるんだろう』と思うんですけど……」とコメントしました。ただ耳当たりの良い言葉を発するのではなく、「答えがわからない」ことを認め、「もっと考えていかなければいけない」というニュアンスを感じさせたのです。
さらに、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)の羽鳥慎一さんは、「これから帰国もされると思いますけど、『私たちは報道の仕方というのに気をつけていかなければ』と思います」とコメントしました。この言葉が最も本質をとらえていましたが、大切なのは今後、人々が他人に「良い、悪い」のレッテルを貼ることをあおるような報道は避けること。それを明言できないところにMCという立場の難しさと、もどかしさが感じられたのです。
人格者を思わせる最後の一文
高梨選手がインスタグラムへのコメントで、名前のあとに書き足された最後の文章が、彼女の人柄を物語っていました。
どうかスキージャンプとゆう素晴らしい競技が混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしいと心から願います」
この一文で、「いかに高梨選手が利他的な素晴らしい人物であるか」がわかるでしょう。これだけ自分が追い詰められた状況においても、彼女が考えるのは競技や仲間たちのことでした。もしあなたが、そんな人格者に「良い、悪い」の判断を下しているとしたら、決まりが悪いのではないでしょうか。
もはや日本代表という立場も、団体戦というジャンルも、「国や国民のために戦う」というニュアンスは薄い時代になりました。今後、高梨選手がクリアな気持ちで「自分と仲間のために戦う」ことができることを願ってやみません。
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