「いくら食べても太らない人」に隠された秘密とは 2つの因子が痩せやすい体質かどうかを決める
ミーラは41歳の小学校教師。夫のジェイコブとの間に3人の子どもがいます。ジムに定期的に通い、毎日自転車通勤していましたが、ここ数年、体の異変に気づくようになりました。
「筋肉が日に日に弱くなって、体重も増え、お腹には赤紫の肉割れが浮き出てきました。顔もむくんでしまい、頬が真っ赤で、チークカラーも必要なくなりました。服のサイズも9号から11号になり、生理不順になりました」
夫も彼女から距離をとるようになり、ある日、爆弾を落としました。ミーラにはもう魅力を感じないと告げたのです。
数カ月後、彼女は深刻な腸炎で入院しました。いくつもの病院で検査が行われた結果、副腎内部に塊があり、過剰なコルチゾールを休みなく分泌し続けていることがわかりました。つまり、ミーラの体内をコルチゾールがつねに駆け巡り、多様な症状を引き起こしていたのです。
ストレスホルモンによる身体への影響
ミーラの例からわかるのは、長期間続く高いコルチゾール値は、私たちの健康を損ないかねないということです。極度の慢性的ストレスによって身体がコルチゾールを過剰に分泌すると、体脂肪を含む身体のいたるところに、下記のような影響が現れてしまいます。
・短期間で腹まわりの脂肪が増加し、首の後ろに脂肪の塊がつ
・顔はぷっくりとしていくのに、足と腕の皮下脂肪は減少する
・筋肉量も減少し、足と腕の力が衰える
・血圧が上がり、コレステロールと糖代謝が乱れ、気分が落ち込みがちになる
・肉割れ、ニキビができ、敏感肌になり、あざができやすくなり、傷が治りにくくなる
・女性の場合、生理周期が不順になり体毛が濃くなる
ストレスの受け止め方には個人差があります。愛するペットが死んで何か月も嘆き悲しみ、不眠や動悸を経験する人もいれば、親愛なるパートナーを亡くしたのにすぐに立ち上がり、身体的な症状を抱えず、日課をこなす人もいるのです。
これにはコルチゾールを受け取る「受容体(ホルモンの受け入れ場所)」が関係しています。コルチコステロイド受容体と呼ばれる受け皿が体内の体細胞のすべてに存在していますが、この感度が主に遺伝によって生まれつき決まっているのです。
研究によると、人口の約半数が特殊な遺伝子変異を持つコルチコステロイド受容体の保有者だといわれています。さらに興味深いことに、コルチゾールへの感度が高い変異遺伝子を持つ人は、お腹が出ていて、コレステロール値が高く、糖代謝が悪く、筋肉量が少なく、うつ病のリスクが高いという結果も出ています。
それに対し、人口の5〜10%の人が、コルチゾールへの感度が鈍い変異遺伝子を有しています。例えば男性でこの変異遺伝子がある人は、筋肉量が多く、強度も高く、高身長です。女性の場合はウエストが細く、また男女ともに、糖尿病になりにくかったり、コレステロール値が低かったりしています。
この「隠れ代謝」と「遺伝」の差によって、たとえ同じ年齢で、同じものを食べ、同じ生活スタイルを保持し、同じくらいのストレスにさらされたとしても、太る人と太らない人がいるのです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら