なぜ監督は「香川1区」の選挙戦を映画にしたのか 小川議員を撮り続けて17年、大島新監督に聞く

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――今回の選挙戦では、『なぜ君』にも登場した坂本(広明)秘書が4カ月間、張り付く形で小豆島の対策を実施し、その結果平井氏に勝利しています。

前回の選挙で小川氏は平井氏に約2000票差で負けていましたが、高松市で500票しか負けていないのに、小豆島の地域では1500票差で負けていました。毎回平井氏が圧勝しており、対策を打たなければならなかったのですが、できていませんでした。というのも、今までの選挙は突然、解散が決まって総選挙が行われていたので、1カ月ぐらいしか準備期間がなかったんですね。

今回は任期満了に近付いていたタイミングでの総選挙だったので、3カ月以上準備期間を割くことができたようです。

小川氏はいつものとおりの「公平」「公正」という演説をひたすらしていました。一方、平井氏は公共工事などの実績をアピールしていましたが、その主張は理があると感じました。島の設備は定期的なメンテナンスが必要ですが、国会議員ひとりではそれを実現できず、県や市町村の協力が不可欠です。その連係プレーを円滑にできるのはわれわれ自民党であるというのが平井氏の主張でした。

交通の便が悪いところは全国で同じ現象があるのではないでしょうか。島民の人たちにとっての関心事は航路の設置など、公共工事によるアクセスの確保です。そして、その調整は自民党が中心となって行ってきました。

そういう意味では強固な保守地盤ができていましたが、今回、小川陣営が7777票、平井氏が7175票の得票で、わずかな差でしたが何とかその地区を突き崩したのは大きかったのかもしれません。

利己なのか利他なのか

――お話を聞いていると、自分の明日の生活を考えると平井議員に軍配が上がり、日本の未来や環境など広い観点から考えると小川議員に軍配が上がるのではという気がします。

本当にそうなんです。今回の選挙で痛感したことは、突き詰めると「利己」なのか「利他」なのかということ。小川議員の「持続可能な社会を作る」という主張は、日本だけでなく世界にとっても必要なことです。最終的には世界の格差をなくしていこうというのが小川議員の主張です。

しかし、その発想を支持できるのはある程度自分に余裕がある人です。自分の生活が保障されているからこそ、自分以外の社会や世界の利益を考えることができる。

選挙が始まった時、呼び掛けてもいないのに、小川氏の事務所にビラ配り、電話掛け、駐車場での誘導など「何かやらせてほしい」とたくさんのボランティアスタッフが集まって来ました。そしてその人たちは「世界の子どもたちに幸せでいてほしい」というような広い視野を持っており、やはり気持ちに余裕のある人たちでした。

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