なぜ監督は「香川1区」の選挙戦を映画にしたのか 小川議員を撮り続けて17年、大島新監督に聞く

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人は誰しも100パーセント利己的な人、100パーセント利他的の人はいません。ただ、明日のくらし、事業を守るためならば、やはり今まで無難にこなしていた自民党に入れるべきであるという価値判断が働いてしまうのかもしれません。

今のところ日本国民は自民党支持が大半なのではないでしょうか。格差が広がる中、以前よりも今の生活が苦しくなっているので、余計に「変わって欲しくない」という気持ちがあるのではないかと。

――『なぜ君』の公開が小川議員の勝因だったという指摘もありますが、そう思いますか。

影響がゼロだったとは思いません。実際、自分自身も選挙戦の取材中「映画を見ました」と現地で声を掛けられました。しかし、香川1区地域での観客動員は5000人で、四国新聞の購読者数の17万部にははるかに及びません。

ただ、ドキュメンタリー制作をやっている以上、自分の作品で社会が動くのはむしろ喜ばしいことです。しかし、実際に映画が現実を変えることはめったにありません。

今回は小さな風かもしれませんが、現実に及ぼした影響は間違いなくあったと思います。そして今後『香川1区』が他の選挙区にどのような影響を及ぼしていくのかについては興味があります。それは自民党にとってはハレーションかもしれない。ただ、映画の影響が現実にどう関わったかは、今のところ読むことはできません。

総裁選の報道は「公平公正」なのか

――特定の候補者に焦点を当てたこの作品はテレビでは作れなかったと思いますが、政治をドキュメンタリー映画にすることの意義についてはどのように感じていますか。

非常に難しいのですが、ある放送局からは『なぜ君』の放映に関してNGが出たことがありました。民放連の基準で、特定の政治家にフォーカスした「番組」を放映することはできないということでした。一方、映画専門チャンネルでは「映画」という扱いになるので放映できるといわれました。

この結果については「なるほど」とは思ったのですが、一方で、テレビで要求される「公正中立」と言われるものが一体何を指すのかと思う時もあります。

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