なぜ監督は「香川1区」の選挙戦を映画にしたのか 小川議員を撮り続けて17年、大島新監督に聞く

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――小川氏の青空対話集会での演説を聞いた子育て中の女性が「右派/左派、リベラル・保守の対立はどうでもいいので、山積みの問題を解決して社会を安定させてほしい」と言っていたのが印象的でした。

香川1区では、自民党支持層、公明党支持層の一定数が小川氏に流れたと聞いています。コロナ禍になり「政治家は党や派閥等に捉われず、長期的な視野で生活環境を改善してほしい」という意識の高まりがあったのかもしれません。

平井陣営は途中から取材拒否

――大島監督が平井氏に1対1で取材をした時は余裕の表情でした。

デジタル庁ができる1週間ぐらい前で、今振り返ると、平井議員が絶好調の時だったのかもしれないです。2021年の6月頃から東京五輪・パラリンピックの事業費削減を進め、NECを完全に干すなどの「脅し発言」の報道もありましたが、その頃には報道も鎮静化してきました。当時は気持ちに余裕があったのではないかと。

平井卓也前デジタル相。選挙が本格する前は、1対1の取材にも応じていたが…… © 2022 NETZGEN

初代デジタル大臣となった後、菅内閣が総辞職し、自分の派閥の長である岸田総理大臣の内閣が誕生しました。しかし、その後、岸田総理から再び任命を受けてデジタル大臣に就任したわけではなかった。その辺りから少しずつ歯車が狂ってきたのではないでしょうか。

2021年8月のインタビューやデジタル庁の発足式は普通に取材できましたが、途中から平井陣営は私たちに対して全面的に取材拒否の姿勢を取っていきました。

また、県立高校の教員が授業で『なぜ君』を扱ったことが、教育基本法および公職選挙法に抵触する恐れがあるとして県の教育委員会がお詫びをしたこともありました。3年生の世界史の授業で『なぜ君』が使用されたとのことです。しかし、映画を2時間すべて見せたのか、部分的に見せて説明したのかなど実際の内容については、明らかにされていません。

お子さんがこの学校に通っていた自民党の県議会議員が問題にして、地元の四国新聞が報じたのですが、私に対する取材はありませんでした。授業の内容はわかりませんが「小川議員に投票しよう」と先生が呼びかけをしたのでなければ、特に問題はないと考えています。

選挙の情勢調査で小川氏リードの報道が出てくるにつれて、徐々にピリピリしていったというところでしょうか。

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