なぜ監督は「香川1区」の選挙戦を映画にしたのか 小川議員を撮り続けて17年、大島新監督に聞く
2021年10月に行われた衆議院議員選挙(総選挙)の小選挙区・香川1区に異変が起こった。前回の選挙で惜敗した立憲民主党の小川淳也氏が対立候補の平井卓也前デジタル相に2万票弱の差を付けて当選した。
平井氏は、祖父、父が国会議員という3世議員で、四国新聞のオーナー一族というバックボーンを持つ、政界・地元香川のサラブレッド。保守系議員として強固な支持基盤を築き上げ、衆議院議員の当選回数は2021年の選挙を含めて8回を誇る。選挙戦直前には初代デジタル大臣にも就任、その実績を追い風に4期連続の小選挙区勝利をあげるはずだった……。
香川1区に何が起こったのか。前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』(2020年、以下『なぜ君』)で「地盤看板カバンなし」からスタートし「公平・誠実・実直」を政治信条とする小川議員の17年間の奮闘を描いた大島新監督に、同作の続編にあたる現在公開中の『香川1区』について話を聞いた。
『なぜ君』ヒットの要因はコロナ禍
――前作『なぜ君』は観客動員3.5万人と、ドキュメンタリー作品としては、ヒット作となりました。その要因をどう見ていますか。
コロナ禍ではないでしょうか。『なぜ君』は第1回目の緊急事態宣言後の6月13日に公開されたのですが、あの時ほど日本も含めて世界各国の政治家や地方自治体の首長の資質や言葉がわれわれの生活に直接影響を与えた時期はなかったと思います。
そういう状況にある中で『なぜ君』が公開され、「政治とは政治家とは一体何なのか」という問いとともに、口コミで映画が広がったようです。
通常時の半分の席数であるものの、都内2館で6日間連続満員を記録するスタートとなりました。お客さんのTwitterでの発信力が呼び水となり、ドキュメンタリーが好きな人たちが「見ておかなければならない」という気になって劇場に足を運んでくださったようです。
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