なぜ監督は「香川1区」の選挙戦を映画にしたのか 小川議員を撮り続けて17年、大島新監督に聞く
例えば、総選挙の報道は各局同じルールの下になされますが、自民党総裁選は国政選挙ではないので縛りはありません。2021年9月の総裁選ではドラマチックな展開でその帰趨に釘付けになった人も多かったと思いますが、これだけ長い間、お茶の間で自民党のことを流せば有利になるのは当然です。
僕は香川1区から見えてくる日本の政治のあり方を描きたいという個人的な思いで映画を作っていますが、そのテーマがたまたま政治だからといって「何が悪いのか」という気持ちもありますね。
普通の人たちが勝利に涙
――お父様の大島渚監督もドキュメンタリーを撮影されていますが、何か意識しているところなどありますか。
父は劇映画の監督としては異次元の人であり、表現者としての手法において父を意識したことはありません。この20年間は、主にテレビのドキュメンタリー制作をしながら自分なりのやり方を確立してきました。一方で、自分で言うのは恥ずかしいのですが、「社会に対して抱いている正義感」のようなものは受け継いでいると感じます。
――最後に、映画の見どころについて教えてください。
終盤、小川氏の選挙事務所で当確ニュースが流れた時に、ご家族はもちろんですが、最前列にいた後援会の中心メンバーの中学校の同級生たちがみんな泣いていました。地元の会社のサラリーマン、ガテン系の仕事の人など、本当に普通の人たちが、選挙戦最後の日は自転車でずっと小川氏に付き添い、最後は勝って泣いていたんです。
小川議員は「地盤看板カバンなし」から出発しましたが、多くの家族、友人、ボランティアスタッフ、全国から駆け付けた人たちの支持を受け勝利を勝ち取りました。ある意味、本当に人に恵まれた人なのではないでしょうか。何もないから結束が強くなった部分もあるのかもしれません。
この作品を見て「人の幸せとは何か」ということを考えさせられた人もいたと聞きました。政治だけではなく、家族や人とのつながりのあり方なども描かれています。ぜひ、劇場で見て、さまざまに湧き起こる感情を受け取って欲しいですね。
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