2022年1月4日、警察庁は2021年中の交通事故死亡者数(24時間以内)が2636人であったと発表した。この数値は2020年比で203人(7.2%)減にあたり、1948(昭和23)年からの統計では5年連続で最少を更新したことになる。
1970年代に1万6000人を超えていたことを考えれば、今はピークの2割以下だ。とはいえ、いまだに子供が犠牲となる痛ましい交通事故が数多く発生し、悪質な飲酒運転や危険な無謀運転などに起因する交通事故も後を絶たない。
さかのぼって2021年3月、内閣府が発表した「第11次交通安全基本計画」では、2021年度から2025年度の交通事故について、2025年末までに事故発生から24時間以内の死者数を2000人以下(30日以内死者数2400人)、重傷者数を2万2000人以下にすることが織り込まれた。
死者2000人以下とは非常に高い目標値で、これが実現すれば世界最高水準の安全な交通社会が実現する。
ミスが避けられない人の操作を技術でカバー
この計画で注目すべきは、「先進技術導入への対応」として「ヒューマンエラー防止を図り ~中略~ 安全性の確保を前提として、社会的受容性の醸成を進めることが重要」であると名言されたことだ。つまり、ミスが避けられない人の操作を技術でカバーすべきと、大きく踏み込んだ提言がなされたのである。
これを受け政府では、例えば衝突被害軽減ブレーキが作動するような事故が避けられない場合に、人の操作よりもシステムの操作(この場合は自動ブレーキ制御の介入)を優先するようにして回避能力を高めるべきではないかとの検討に入った。
先の計画にはさらに踏み込んだ文言がある。「交通事故のない社会を実現するために ~中略~ 先端技術や情報の普及活用を促進 ~中略~ Society5.0の実現を視野に、ICTを積極的に活用し ~中略~ 高齢者を始めとする人々の行動の変容を促していく」と、目標(交通事故のない社会の実現)と、手段(先端技術などの活用)が明確に示された。これも大きな原動力になる。
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