2021年4月23日、ホンダの三部敏宏社長は就任時の会見において、「2050年に全世界で、ホンダの二輪車、四輪車が関与する交通事故死者ゼロを目指します」と発言し、安全への取り組み目標を示した。
これを受けて2021年11月25日、その手段となる安全技術のあるべき姿を公開している。ここには2020年代後半に実用化を目指す研究段階の技術も含まれる。
ホンダが公開した死者ゼロに向けた手段は、細かな技術まで含めると実に30項目近い。ただ、その中には、二輪車のABSや四輪車の先進安全技術群である「ホンダ SENSING」などすでに実用化されたり、標準装備化されたりした技術も含まれている。
実用化された技術の作動精度を劇的に向上
では、何が新しいかといえば、実用化された技術の作動精度を劇的に向上させる手段が講じられたことだ。さらには、その技術からの情報を受けたドライバーがどんな回避動作をすればいいのかHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース=人と機械の接点)としてわかりやすく示し有用性も高められた。
また、そもそも危険な状態に近づかないようにするため、運転操作の主体であるドライバー(人)の状態を、クルマ(システム)が理解するという協調運転のあるべき姿も目指した。
しかも単に目指しただけではない。本田技術研究所ではかねて「安心安全・人研究ドメイン」を立ち上げている。ここでは第1段階として、例えば隣車線を走る車両が急接近するなど危険が高まった際に、車内のドライバーがどんな状態であるのかをドライバーモニターカメラで把握しつつ運転操作の履歴から総合的に勘案して、“事故の発生リスク”を判断する。
そして第2段階として、“事故の発生リスク”に応じたドライバーに対する回避動作の要求(例/ディスプレイ表示や警報やシート振動など)や、猶予がない場合は確実なシステムによる回避動作の実行(例/自動ブレーキ制御やステアリング操作介入など)を、どのタイミングで、どのように組み合わせていけばもっとも効果的なのか、つまり事故ゼロに一歩でも近づけるかを検証している。
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