ホンダ「2050年交通事故死者ゼロ目標」に必要な技 AIや通信など先進の将来安全技術を世界初公開

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ホンダはこうした人中心の新たな手法を用いて、「2050年、交通事故死者ゼロ」に対し、次の2方向から技術的なアプローチを行う。

1/「知能化運転支援技術」。これはすでに実用化されている「運転支援技術」と、この先に実用化を目指す「操作ミスや事故リスクの予兆をAIにより捉える技術」を融合させて実現する。
2/「安全・安心ネットワーク技術」。高速大容量で低遅延の5G回線やスマートフォンなど通信技術を活用しながら、クルマとクルマ、クルマとバイク、そしてクルマ(バイク)と歩行者など、すべての混合交通参加者が通信技術でつながることで事故を遠ざける。

実に壮大な計画だが、ホンダは2050年の死者ゼロの前提として、2050年時点で世界中に保有されている、過去に販売されたすべてのホンダ車を含めて死者ゼロを目指している。つまり今日現在、販売されているホンダ車も該当する。これはすごいことだと筆者は思う。

ここ数年、世界中の自動車メーカーがこうしたスローガンを掲げているが、約30年先の未来にありたい姿を明確に示した例はない。ここから、ホンダが真剣に死者ゼロを目指していることが伺える。

ホンダは二輪/四輪合わせれば世界一の販売台数を誇る車両メーカーだ。ゆえに目標には創業時からの二輪車を含めたのだが、ユーザーであるわれわれとしては実に誇らしいと筆者は感じている。

特に重要な3つの要素

前述のとおりホンダが掲げた交通事故死者ゼロへの手段は30項目近いが、本稿では以下3点を主体に話を進めたい。

1:fMRIで人間の脳を調査し運転リスクの検出
2:AIによる歩行者飛び出し予測・判断
3:二輪車のライディングアシスト

1:fMRIで人間の脳を調査し運転リスクの検出

① 「知能化運転支援技術」の開発には人の研究が大切であるとし、ホンダは「脳」に着目した。人の脳は認知、判断、操作のすべてを司ることから、人の間違いによって発生する操作ミスや判断の誤りは、原因をたどるとすべて脳に行き着くともいえる。

その前提を受けて、脳の活動のうち、操作ミスや判断の誤りにつながる部位を磁気共鳴機能画像法(fMRI)で見える化して、運転中に発生するリスクに対して脳がどのように反応しているのかを解析した。

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