一方、中国の出方は読みにくい。北京で開催するAPEC首脳会議は、習近平主席にとってはみずからが皇帝として執り行う、朝貢外交の晴れ舞台に見えているかもしれない。間違っても失態は許されないところだが、そんな中で台湾や香港のAPEC代表をどのように遇するべきか。仮に当日までに香港の民主化デモが収束していないようだと、皇帝のメンツは丸つぶれになりかねない。
外交上の「勝ち組」と「負け組」が明らかになる1週間
あるいは例年の中国は、「APECは習近平国家主席、EASは李克強首相」という使い分けをしているけれども、EASとG20にどちらが出席するかも興味深い。ご両人の力関係を窺い知る絶好のチャンスだが、米中関係の重要性を考えると最後は「習近平の3連投」になるんじゃないかいう気がする。
ロシアのプーチン大統領も注目の的だ。APECは一昨年、G20は去年、自分が議長を務めた会議であるから、どちらも欠席したくはない。しかし「俺様がEASなんぞに出てどうする」くらいに考えていそうだし、豪州では反ロシアデモに遭うかもしれない。途中でドタキャンという事態もあるだろう。この間に安倍首相との日ロ会談に応じるかどうか、あるいはオバマ大統領とどんなさや当てがあるか。もっと言うと、どの面下げてマレーシアの首相と会ったらいいのか…。
ひとつだけ確かなのは、1週間の過密日程が終わった後で、外交上の「勝ち組」と「負け組」が鮮明になっているだろうということだ。これまで数多くの外交日程をこなし、いささか自信をつけているように見える安倍首相だが、果たしてその首尾やいかに。
はたまたニコニコ顔の安倍さんを日本で待っているのは、11月16日の沖縄県知事選での渋い結果や、11月17日に発表される7~9月期GDPの1次速報値が想像以上に悪かった、などといった厳しい国内情勢かもしれない。
いやはや、この秋の政治外交日程は見どころ満載、地雷が一杯だ。天気はいいけれども、台風にはくれぐれもご用心を。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら