10月中旬から、一時的にせよ世界的に株価の値動きが激しくなっています。東洋経済オンラインでオバゼキ先生(小幡績・慶應義塾大学准教授)もそれをお書きになっているので、私もまずは株式をとりあげてみたいと思います。まあ、金融屋からみた株価の見方、という感じでしょうか。
株価が動くと翌日の新聞などのメディアでは必ず、妙な解説がなされます。最近ではアメリカのFRBによる金利引き上げが早まりそうだから株価が下がったのだ、というデマに近いものから、はてはエボラ熱蔓延まで、エボラがはやるとして、それがどうしてマイクロソフトの株を下げることになるのでしょう。ワタクシは一応プロですが、この解説は、競馬解説よりひどい性質だと思っています。
つまり、こういう解説が出てくるということは、「株とは何か」、「株価とは何か」、ということを彼ら「専門家」が根本から勘違いしているとしか思えないわけです。
まず、FRBの金融政策などの変更は、ファンダメンタルズ(マクロ経済指数)や全体の景気には影響を与えますが、株価には全く関係がないと言っていい。
アップル株ですべて説明できる、個別株の動き方
債券なら、こういうファンダメンタルズが決定要因になり、値動きが決まり、よほどのことがない限り、アメリカの国債が売られるなら、先進国の国債が売られる結果になりますし、債券(FIXED INCOME)と称される商品でこの動きと逆行するものはありません。つまりファンダメンタルズと債券価格の間には十分な相関関係とそうなる理由があるということになります。
しかし一方で株価は、マクロ経済統計がどうなろうとも、その企業の業績さえ良ければ全く無関係に株価が上がります。ずっと上がり続けてきたアップル株が良い例ですが、圧倒的な技術革新が起きたり、業界を席巻するような商品が開発されればその会社の株価は上がるのであって、ファンダメンタルズとは無関係なのは明らかです。
「いやいや、FRBの引き締めがあれば景気全体に影響が出るから株価も下がるではないか」、という方もいるかもしれません。しかし、その景気の影響を受ける企業の株は下がりますが、全く関係ない技術革新や景気の変動の影響のない株式と言うのは必ず存在し、債券のようにすべてのものが一方向に行くということは有り得ない。
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