日本の醤油メーカーがインドに熱視線を注ぐ理由 規制緩和で「本醸造しょうゆ」が販売可能に
いまや世界各地で人気を集めている日本食。それに伴い、日本食に欠かせない調味料・しょうゆも世界に浸透しつつある。アメリカ、中国、イギリスなど世界各国に輸出され、現地生産もされている。しかし、アジアのある大国へは進出がままならなかった。約14億人の人口を抱えるインドである。製造上の食品規制が厳しかったことがその理由だ。
それが、2021年7月から規格が変更され、日本の本醸造しょうゆの販売が正式に認められることになったというのだ。巨大市場に日本のしょうゆメーカーはどう立ち向かうのか。大手中心にその戦略を聞いた。
国内の需要減を海外でカバー
まずは、しょうゆの国内状況を見てみよう。
「しょうゆ情報センター」のデータによると、出荷量は1973年の約129万キロリットルがピークで、2002年に100万キロリットルの大台を割り込み、2019年は約74万キロリットルと、ピーク時の57%の水準まで落ち込んでいる。ここ10年以上、減少傾向がとまらない。1人当たりの消費量は1973年に年間11.9リットルだったが、2019年は5.9リットルと半分に減っている。人口減が続くなかで、今後も国内需要は縮小していきそうだ。
減り続ける国内需要と裏腹に、輸出や海外生産は増え続けている。平成以降の輸出数量をみると、1989年の8418キロリットル(約16億円)が2019年には3万7101キロリットル(約77億円)にまで増加した。20年間で数量は4.4倍に、金額ベースでは4.8倍に拡大しているのだ。
輸出先の上位は次のとおり(2019年)。
2位 中国 3798キロリットル
3位 イギリス 3047キロリットル
4位 韓国 2038キロリットル
5位 オーストラリア 2036キロリットル
6位 フランス 1930キロリットル
7位 シンガポール 1792キロリットル
8位 タイ 1657キロリットル
9位 香港 1648キロリットル
10位 ドイツ 1416キロリットル
欧米とアジアが上位を占める。しかし、そこにやはりインドは入っていない。
国内メーカーによる海外生産は2008年の18万キロリットルが2018年には26万8000キロリットルにまで増加している。2018年の輸出総量は3万5546キロリットルだから、現地生産は輸出の7倍以上に規模が拡大していることになる。国内需要の低下を海外輸出と現地生産でカバーしている構図が読み取れる。
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