産業革新機構、中小機構の役割とは? エクイティファイナンスでベンチャーを支援

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産業革新機構では、ベンチャーに直接投資するスキームと合わせて、民間ベンチャーキャピタルのファンドにLP(有限責任組合員)として出資する戦略的LP投資を実施しています。これは、産業革新機構と投資哲学を共有するベンチャーキャピタリストが運営し、かつ、機構の投資戦略の延長線上にあるけれども、カバーできていない領域に投資を行うファンドや機能的に補完関係にあるファンドへ出資を行う取り組みです。現在、次のベンチャーキャピタルのファンドに出資し、機構の有するネットワークを提供しながらベンチャーを育成しています。

産業再生機構の戦略的LP投資
○ 東京大学エッジキャピタル
大学の研究室の技術シーズを、研究者との信頼関係を築きつつ実用化する投資スタイルで、技術開発型ベンチャーの育成にかけては、国内トップ。バイオ、ロボット技術、新素材など、有望な先端技術領域への投資を実施し、事業戦略の策定や外部人材を紹介してのマネジメントチームの形成などハンズオン支援を実施。
○ グローバルブレイン
大企業のベンチャー投資のパートナーとして実績を有し、投資先経営者とともにビジネスモデルを組み上げて成長させ、必要に応じて大企業を繋げる力には定評あり。IT、サービス、電子デバイスなどに積極投資し、マネジメントチームに入り込んで丁寧に支援するスタイル。
○ WiL
日本人で初めてシリコンバレーのトップベンチャーキャピタル(DCM)のパートナーとなった伊佐山元氏の率いるファンド。サイバーエージェントでCOOをしていた西條晋一氏やYahooのCIO(Chief Incubation Officer)だったの松本真尚氏らとともに投資・ハンズオン支援のドリームチームを形成。シリコンバレーとの強いネットワークを活用し、出資者となっている国内大企業との密接な関係も活かしつつ、世界で活躍するベンチャー育成を目指す。

ベンチャー企業の成長に関しては、テクノロジーリスク(技術開発が成功するのか)、マーケットリスク(市場が存在・拡大するのか)、マネジメントリスク(会社経営がうまくいくのか)という3つのリスクがかけ算になると言われています。産業革新機構は、テクノロジーリスクの大きい先端的技術開発や、マーケットリスクの大きい新市場分野の開拓をするベンチャーへの投資を民間ベンチャーキャピタルを補完するかたちで推進していると言えます。

ベンチャーの生態系の始まりとは?

以前、ビル・ドレイパー(Draper-Fisher-Jurvetsonの創設者)やピッチ・ジョンソン(Asset Managementの創設者)などシリコンバレーのレジェンドと言われるベンチャーキャピタリストにインタビューする機会があった際に「ベンチャーキャピタルを始めたころ、資金調達ができなくて政府のSBIC(Small Business Investment Company)制度で助けてもらったよ」との話を聞きました。

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