過去の調査では、中小機構の出資がなければ、ファンド組成ができなかったという回答も多数寄せられています。まさに、ビル・ドレイパーのファンド組成時のSBICと同様です。「制度創設から15年以上、運営を続けたことでノウハウも蓄積し、業界の評価も上がってきました。
また、中小機構が出資者に入ることで、ベンチャーキャピタルや他の民間出資者に対する牽制力も働き、ファンドのバランス、規律を保つことにも貢献していると思います。さらに、ベンチャーや中小企業の方々には、ファンドに対して投資を受けると会社を乗っ取られるのではないか、との不安感や不信感を持つ方もいらっしゃいますが、中小機構の出資先ファンドは「公的機関の出資するファンド」なので安心との評価もいただいています。」と西内幸男ファンド事業部長は語ります。
人材不足へのアプローチ
日本のベンチャーエコシステムの形成に向けては、ベンチャー投資が少ないという資金量の課題とともに、将来性のある企業を目利きして投資し、育成することのできる優秀なベンチャーキャピタリストの数が不足しているという人的な課題があります。
産業革新機構の投資は直接的な戦略投資に重点を置き、中小機構のファンド事業は民間VCの主体性を重視するマッチングファンドということで、それぞれ異なる手法を使いますが、日本のエクイティファイナンスにおける人材育成を促進する支援策としても重要です。ベンチャー投資の資金が増えることと合わせて人材育成の機会が増えるという効果があります。「ベンチャーキャピタリストはマニュアルでは育たない。良い先輩について、そのスキルを学び経験を積むのが一番。一人前になるには時間がかかる」という話をよく聞きます。
産業革新機構で働くキャピタリストや戦略的LP投資のキャピタリスト、中小機構のファンド事業出資先のキャピタリストがベンチャー企業の育成をすることとあわせて、将来日本のベンチャーキャピタル産業を担う若手人材を育成することを期待しています。人材は短期間に増やすことはできないので、着実に休みなく増加させることが重要です。このような制度がしっかりと継続されることで日本のエクイティファイナンスのプレーヤーが増え、ベンチャーエコシステムの形成に貢献すると考えています。
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