産業革新機構、中小機構の役割とは? エクイティファイナンスでベンチャーを支援

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2013年に設置された戦略的投資グループでは、ベンチャー投資を機動的な意思決定で進めています。グループのリーダーである土田誠行専務執行役員は、「産業やライフスタイルを革新するビジネスモデルや、世の中を変える技術を有するベンチャーに思い切った投資をしています。特に、多額の投資資金が必要な先端的技術開発など、民間のベンチャーキャピタルが投資しきれない、リスクマネーが不足する領域に集中投資して、ベンチャーエコシステムの形成を支援します」と説明しています。その土田専務に主なベンチャー投資の事例とその考え方を聞いてみました。

産業革新機構のベンチャー投資事例
○ コイニー
スマートフォンのイヤホンジャックに接続する安価なリーダーとアプリケーションを開発し、簡単にクレジットカードの決済ができるシステムを広げるコイニー。クレディセゾンと事業提携し、その全国支店ネットワークを活用した営業展開で、地域におけるカード加盟店のニーズを引き出しながら、サービス向上を図っています。
「地域の中小事業者や個人事業主の方々にとって、クレジットカード決済の端末を導入することは資金もかかりたいへんなこと。そのハードルを下げて、小規模店舗でクレジットカード決済の利用を拡大する画期的なサービスです。また、日本に来る外国人の不満の上位には、クレジットカード決済ができないことがあります。地方の商店街などでもクレジットカードで買い物ができるようになれば、クールジャパンにも貢献します」(土田専務)
○ マイクロ波化学
マイクロ波化学は、電子レンジに使われるマイクロ波を大きな化学プラントで利用できるようにした大阪大学発ベンチャーです。高温・高圧かつ時間を要する化学反応の工程において、生産プロセスの簡略化が可能となり、エネルギーコストの大幅な削減が実現。従来生産できなかった化学製品の開発の可能性も出てきています。
「マイクロ波は、従前は設備のスケールアップの難しさや、熱暴走のコントロールができない等の課題があったのですが、この企業の技術で大型のプラントで使えるようになりました。化学工場や食品工場の反応炉の加熱をボイラーではなくマイクロ波に置き換えることで、エネルギー効率や生産プロセスの画期的な向上を図ることができ、業界に大きなインパクトを与えます」(土田専務)

WHILLやアグラにも出資

この他、電動車いすの世界に「デザイン性」と「新機軸の機能性」を統合した新しい製品カテゴリーを創出するべく日産、ソニー、オリンパスなどの大手企業出身のデザイナーとエンジニアが設立したWHILL Inc.や、ビッグデータの活用に向け企業が保有する様々なデータを短期間・低コストで統合し、「データの使える化」を実現する基盤ツールを開発するアグラなど多くの先端的な企業に出資しています。

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