利益倍増!『メンズクラブ』V字回復の理由 90分のイベントで1000万円が動く!

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雑誌は「顧客ビジネス」になった

――戸賀さんは具体的に、どんな改革をされたのですか?

一言で言うと「マスメディア」であることをやめました。『MEN’S CLUB』は1980年代から、まさに男性誌のトップを走り続け、「アイビールック」のブームを作った伝説的な雑誌です。僕が世界文化社に新卒で入った頃から、男性誌のベンチマークの対象は、つねに『メンクラ』だった。

ところがその伝統と成功体験ゆえに、みんなに愛されたい!という「マスメディアの呪縛」から逃れられずにいた。20代から50代まで、「すべての男性」に向けた内容になってしまっていたのです。

僕が広告収入を増やすために行った具体的な施策は2つ。ひとつは、雑誌のターゲットを、35歳を中心にしたコアな層に絞ったこと。もうひとつは、定期購読とSNSを連動させた顧客の囲い込みです。

――雑誌の編集長から「顧客の囲い込み」という話を初めて聞きました。面白いですね。

雑誌はマスメディアではなくて、顧客ビジネスに変わりました。そういう発想がない雑誌はこれからどんどん淘汰されてしまうと思います。

今『MEN’S CLUB』 の部数は5万部です。正直、競合には、部数が僕らより多い雑誌がある。でも、多くのブランドが、僕らの雑誌を「ご指名で」広告を出してくださる。その背景には、「必ず商品を買ってくれる」コアな読者さんたちがいるわけです。

――「コアな読者」とは?

9000人近い数の「定期購読者」を抱えています。競合と言われる雑誌の部数では3位ですが、定期購読者数は、ダントツ1位です。

彼らは『MEN’S CLUB』のファンで、ファッションに対して消費意欲が旺盛な人たちです。さらには彼らとフェイスブックなどのSNSでつながって、たとえば「この人はディオールが好きだな」「この人にはビームスがおすすめだな」ということがわかっている。これはほかの雑誌にはない、大きな強みだと思います。

90分のイベントで1000万円が動く

――戸賀さんは毎週、イベントで全国を飛び回っているそうですね。それほど積極的にイベントにこだわる理由は何ですか?

ショッピングイベント(読者を集めて、モノを売るイベント)自体は、どの雑誌もやっています。それ自体は珍しいことではありません。『MEN’S CLUB』の強みは、イベントを「やるだけ」ではなく「必ず売れる」ことです。

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