典型的なバックグラウンドとしてはアメリカの大学を卒業後、投資銀行のIBD(投資銀行部門)やMBD(自己勘定投資部門)で2~3年経験を積んだ後、あるいはMBAを卒業後にいちばん下、もしくは下から2番目のポジションで入社してくる人が多かったです。新卒で入る人もグローバルで年に1~2人いて、ルートはさまざまといった具合でしたが、面接ではファイナンスの質問やエクセルで財務モデルを作成するテストもあり、学部でビジネスを専攻していた人がほとんどです。平均在籍年数は4〜5年だと思います。
ポジションの近いライバルからの悪口・陰口も
——金融業界は実力主義といわれていますが、社内での競争はやはり激しいのでしょうか?
厳しいと思います。パフォーマンス次第ではクビになることも当然あります。本社では競争心からか、自分とポジションの近いライバルに悪口・陰口を言われることもありましたが、そういうことを気にしない心の持ちようが大事になりますね。悪口を言っていたような人にかぎって、最終的には認め合って仲良くなったりもするものです。
いちばん下のポジションから昇進するまでの期間の目安は2~3年、その次は3~5年、そして、そこから上はどれだけ会社に貢献したかどうかで決まります。2年程度でのし上がっていく人もいれば、10年以上かかる人もいます。実力主義とはいったものの、人事の採点表は下であるほど「職業倫理感」「正確性」「分析力」「思考の深さ」といったカテゴリーを評価の対象にされ、上にいけばいくほど、「会社にどのような利益をもたらしたのか」という点に集約されていきます。
——なるほど。具体的なご説明、ありがとうございます。ちなみに、岡さんはどういった領域を専門に投資をしていたのでしょうか?
ホテル会社、不動産会社(建設業者やデベロッパーなど)、そして実物不動産を専門にしていました。東京、ロンドン、アリゾナ、オーストラリア……本当に多岐にわたる国の案件に携わることができました。
アメリカに渡ってからは、いくつか西海岸の地域を任され、案件発掘のためによくアリゾナやラスベガスに足を運んでいました。ラスベガスというと華やかに聞こえるかもしれませんが、実際は地道な作業の繰り返しです。ラスベガスではいつも酔っ払いとギャンブラーに囲まれて、キーボードをかちゃかちゃとたたいてました。いつか、プライベートでラスベガスをエンジョイしてみたいなと思っています。
——早くからある種「飛び級」のように、投資ファンド、しかも海外の会社へ入っていった岡さんですが、ご自身に先天的な才能があったと思いますか?
ありません! 英語にしろ、専門性にしろ、ここまで来たのはコツコツと地道にやってきたからだと思っています。専門的な知識や非凡な才能を持つ人が多いイメージの投資業界ですが、PEファンドにはひとつのものに圧倒的に長けた人よりも、バランスの取れた人が多い気がします。
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