そう言ったのは、シンガポールの国父、リー・クワンユーだった。仕事を求めて海外へ出ることは、日本においても現実的な選択肢となりつつある。われわれ日本人が世界中の人材たちと対等に戦っていかなければならない時代は、もはや始まっているのだ。
本連載では、すでに海外でポストをつかみ第一線で活躍する若き日本人の中でも、いわゆる「駐在員」ではなく、「現地雇用」を得た人たちに注目したい。彼らの素顔、「海外出稼ぎ」の中で直面した困難や仕事の面白み、そして経済的な事情や日々の生活スタイルなどなどに触れることを通して、世界がこれからのわれわれに何を求めるのか、いわば「世界の募集要項」が何であるのかに迫っていく。
パリ、東京、ニューヨーク、そして国際結婚でパリへ
※写真は、2014年初夏職場近くのブライアントパークにて。左が金子さん。
金子はなさんは、あふれる好奇心を押さえ込まず、自身の思うままに人生を歩んできたように見える人だ。パリの大学院で経営学を学び、東京でのゴールドマン・サックス勤務を経て、日系メガバンクのニューヨーク支店に現地採用された。
しかし、何やら今度は、ニューヨークで出会ったフランス人の男性と結婚し、生活拠点をパリへ移すという。
「自分のやりたいこと、キャリアを優先してしまう人間だった」と自身を語る彼女だが、今回の決断に際しては、自分の内面的な変化に少し驚いてもいるようだ。
ひとつの経験が、次につながるきっかけをくれる。そう語る金子さんは、人生を、螺旋階段にたとえる。彼女の人生観やこれまでの経験から、国際的なキャリアを築くうえでの留意点、またグローバル人材として世界で活躍する女性の結婚観などを、のぞき見ていきたい。


















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