本連載では、すでに海外でポストをつかみ第一線で活躍する若き日本人の中でも、いわゆる「駐在員」ではなく、「現地雇用」を得た人たちに注目したい。彼らの素顔、「海外出稼ぎ」の中で直面した困難や仕事の面白み、そして経済的な事情や日々の生活スタイルなどなどに触れることを通して、世界がこれからのわれわれに何を求めるのか、いわば「世界の募集要項」が何であるのかに迫っていく。
今回は、3人の刺激的なキャリアパスを参照しながら、「新卒、あるいは第二新卒で海外での直接雇用を得る」というテーマを追ってみたい。読者の皆様は、新卒で海外に就職!? と驚かれるかもしれないが、実はこういったキャリアをたどる若者はすでに存在する。
海外で働くにはある程度の経験や実績がないと難しいのでは、と思われがちだが、実際はどうなのだろうか。新卒での海外現地採用へと至った経緯、選考プロセス、必要とされる条件、やりがいなど、多岐にわたって考察していきたい。
インターンから現地採用のチャンスをつかむ
まず、最初にご紹介したいのは、野村総合研究所のインド現地法人で経営コンサルタントを勤める石川桂太さん。
彼は慶応大学在学中に日本国公認会計士試験に合格。日本でも就職活動を行い、大手監査法人をはじめ、複数の魅力的な企業から内定を得ていた。
しかし、紆余曲折を経て、現在はインドで勤務をしている。どういった経緯があったのだろうか。
石川「大学4年生のときに“英語圏・途上国”でインターンしたいと思っていた矢先に、偶然、知り合いからインドの会計事務所に勤務されている方をご紹介いただき、その事務所のあるインドへと飛び込みました。
インターン時代、野村総研で勤務していた方と日本人コミュニティで出会ったのですが、その方から現地法人社長を紹介してもらい、ディナーに3回ほどご招待いただいて、気づいたら内定してました(笑)。日本でもいくつかの企業から内定をいただきましたが、やはり海外で挑戦したい、厳しい環境で成長していきたいという思いが強く、インドの野村総合研究所に就職することを決めました」
何とも、インターンで飛び込んだ先の縁が広がり、あっという間に内定にたどり着いたそうだ。確かに、海外の事情は日本からはよくわからない。現地に入ってしまい、情報やネットワークを得ていくのはひとつの戦法だろう。
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