新卒でも、裁量を持って、刺激的な業務に臨むことが現地採用では可能になって来るようだ。しかし、採用を受けるには特殊な能力や経験が必要になってくることも事実で、いずれにせよ早い段階で現地にインターンなどで入っていくと能力もつくし、現地のネットワークなども得られるため、有利に働くということであろう。
語学も専門性もほどほどに現地採用?
続いて紹介するのが、リクルートホールディングスベトナム法人で勤務する金子竣さんである。いったん日本で就職しながらも、海外で働きたいという強い思いを抑えられず、ほとんど新卒の状態で、ASEANへと飛び出していった。当時、どういったプロセスを経て、現地採用へと至ったのであろうか?
金子「きっかけは、大学卒業前に行った世界1周旅行です。4カ月かけて、29カ国を回ったのですが、あ、意外となんとかなる。普通に海外でも生活していけそう、って思いました。帰国後、コンサルティング会社に入社したのですが、海外で働きたい!と思っちゃったんですね。思ったら止められなくて、会社を3カ月で辞めて、また就職活動をして、2カ月後にはベトナムで働き出していました。
とりあえず仕事がないか、Googleで検索したことが始まりです(笑)。人材業界へ行き着き、いろいろと話しているときに、「うちで働かないか?」とありがたいオファーをいただき、リクルートのベトナム法人へ勤務することが決まりました」
自分でアクションを起こして情報を求めていけば、ポストが見つかることを金子さんの経験は語っている。また、たいへん興味深いことに、金子さんは現地採用以降、貴重なビジネス経験を得ているものの、石川さんと村井さんが言うような、英語や専門的スキルに関しては特に重要ではないと語る。その真意とは?
80%は日本語での業務
金子「業務は、ベトナムに進出している日系企業に、ベトナム人、日本人両方を紹介することです。私は企業側の担当として、新規顧客の開拓・既存顧客のフォローをしています。ベトナムに進出している企業は、日本である程度成功している場合が多いので、必然的に大企業が大半を占めます。現地法人の社長を務めるような方に対して、1年目から自ら提案し、共にビジネスを進めていくという経験は、日本ではなかなかできないことだと思います。
海外で働くにあたって、英語は、もちろんできるに越したことはありませんが、完璧にできていなければならないというものでもないと思います。たとえば、自分が担当している業務は、全体の80%は日本語で行っています。
残りの20%は英語ですが、ベトナムも英語が第1言語ではないため、働きながら身に付けていくのでも十分に対応できると思います。仕事における専門性は、あると優位だと思います。ただ、自分のように専門性がなくても就ける仕事や日本語がメインの仕事もたくさんあるので、海外で働きたい!ということであれば、先に日本を飛び出してしまって、働きながら専門性を身に付けていくというのもよいと思います。」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら