新卒で米国の投資ファンドに就職してみた

TOEFL(IBT) 50点から、まるで「飛び級」のように

投資案件は一つひとつが大型で、かつ5年もの歳月を費やしながら定量分析と定性的な戦略作りなど、根気強く「仮定と検証」を繰り返していくような仕事です。なので、「論理性」と「創造性」、「クィックネス」と「思考の体力」、「内省的な分析力」と「説得力や交渉力などの対人能力」といった、一見、対になるような力のバランスを要求されます。

私も才能ではなく、目標達成のために今の自分に足りないものが何かを見つけ出して、努力をしてきただけだと思ってます。今まで10カ国以上の案件に従事してきて、時に、自身のスタイルを変えていくことも求められてきましたが、それも前向きにとらえ、自分のプラスになると思って、ひたすら行動していくことが大切だと思います。

目先の数字の事は一度忘れて、語ろう

——海外へ出て感じられたことや得られた体験の中で、感動して心が震えた瞬間は?

これは今の会社を起こしてからのことです。ホテル会社の買収が完了した翌日、自分を含めた投資家団や創業者で円卓を囲んで、今後の経営方針を協議するミーティングを兼ねて食事をしました。非常にシックな空間で、聞こえるのは波の音と土地に伝わる伝統的な音楽、光は松明の火と月明かり。そんな神秘的な空間ということもあってか、投資家のひとりが「目先の数字のことは一度忘れて、10年後、20年後のこのブランドについて語ろう」と提案したんです。

それまで皆、負債比率の調整や収益率を上げる戦略を議論していたのですが、空気が一変して、「最近、子供が生まれたから、そいつの孫の代まで繰り返し帰って来られるような場所を作りたい」「新規開発では、できれば木を1本も切りたくない。開発地の伝統文化や経済と持続的に共生できる経営をしたい」「客の究極の第2のわが家を作り続けたい」など、心に訴えかけるチームメンバーの意志があらわになりました。

その場にいる誰もが、「これからこの会社はきっとすばらしいものになっていく」と確信した瞬間でした。おカネを超越するなにかが投資業界にはあるんだ、そう感じられ、またあわただしい日々を駆け抜けていく活力をもらえたことを覚えています。

——すばらしい瞬間だったことが伝わってきました。ロマン、という言葉が正しいかわかりませんが、ものすごい速さで大量のおカネが動いていく投資業界だからこそ、そういったものを見つめていたいですよね。現在はシンガポールでご自身のファンドを立ち上げられたと聞いています。今後の活動について聞かせてください。

退職祝いに同僚らとスカイダイビングへ

2013年9月からは以前在籍していたファンドの上司と独立し、新しく投資会社を始めています。Sustainableという社名にもあるとおり、持続的・長期的な価値創造に目を向けています。

従来、私が携わって来た不動産業界の会社や資産への投資に加え、「Sustainable Community Development」「Shared Economy」「Renewable」「Energy Efficiency」などのキーワードに当てはまる対象を発掘しながら投資をしています。

発展途上国のコミュニティと共生しながら開発を行うホテル会社、地熱で工場の設備の温度管理を行う会社、そして車や空スペースのシェアリングを促すウェブサービス会社など、自分にとって新しい分野への投資を検討することもあり、そのたびに心を躍らせています。

 

インタビューを終えて

徹底的な自己分析と、絶え間ない努力。このふたつが、岡さんがこれまで驚くべき国際的なキャリアを形成してきた原動力ではないだろうか。競争の厳しい金融業界で、しかも世界レベルの仕事をしようと思ったら、このようなブレない精神力が必要になってくる。岡さんのように、タフな環境に臆さず、つねに挑戦をしていける性格の人には、世界というスケールで仕事をすることが合っているように思えるのであった。

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