——実際、海外での就職活動は、どういった選考プロセスで内定が決まるのでしょう?
選考プロセスはもちろん英語で、最初はいくつか口頭の計算問題や会計・ファイナンスのテクニカルな出題をされます。次のステップでは、チーム全員から「Tell me about yourself」を聞かれた後、「Tell me more」とそれぞれ10回ずつくらい言われました。最後には財務分析やプレゼン資料作りのテストを受け、その後、チーム全員ともう何度か会って食事に行ったりしました。
面接中は、認めてもらうためならタダ働きでもかまわないと伝えていました。結局、東京オフィスでインターンを3カ月間した後に、本社から出張で来日した役員と食事をし、「本国(アメリカ)での採用を念頭に、数年間は東京勤務」という条件付きでしたが、そこで正式なオファーをもらえたんです。そのときのことは、今でも鮮明に心に残ってます。
映画やドラマの英語を一語一句書き出す日々
——なるほど。自らの意志をしっかり持ち、自己分析し、さらに高い専門性がないと望む職を得られないのがアメリカなのですね。岡さんは、もともと英語はどれくらいできたのでしょうか?
幼少期に数年、アメリカで育ちましたが、残っている英語力はネイティブと呼べるには程遠いものでした。高校3年や大学1年の頃のTOEFLのスコアは、今のIBT尺度で50とかそれくらいだった気がします。高校まではずっとバスケに心血を注いでいたのですが、大学に入ると病気でできなくなり、エネルギーが勉強に向き始めました。
日本語で受けた授業の参考書を英語で読むようになったり、DVDが壊れるんじゃないかってくらい映画や海外ドラマをリピート再生して、一語一句書き出してみたり。しっかり続けたら随分と英語力も伸びて、外国人相手でも臆さないようになりました。
——大変な努力をされたのですね。こういったエピソードは、日本の多くの若者にも励みになります。投資の分野を選ばれたのはなぜでしょう?
あるとき、「Brand Extension」という言葉を新聞で見つけました。投資ファンドがファッションブランドやホテルブランドに資金提供をして、本来の主流商品ではない新しいプロダクトへの参入を支援しているという記事で、具体的にはLVMHがL Capitalというファンドを組成して投資を行っているという内容だったと記憶しています。
「そんなことできるのか!」と衝撃を受けました。世の中にはダイナミックな仕事があるんだな、と。以来、そういった投資ができるファンドにいきたいと思うようになりました。
——競争は激しいものの、興味深い仕事ですね。私の友人、先輩でも投資業界で活躍されているすばらしい方がたくさんいます。業界における、職場環境はいかがでしょう。
私が勤めたのは、グローバルで150人程度の会社でして、自分が所属していた投資部隊は30人強だったと思います。役職は4階級あり、新卒や日本で言う第二新卒(他社で2年程度)などは、入社するといちばん下からのスタートです。
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