「新年の目標」を達成できない人に欠けている視点 頭で考えた目標だとモチベーションが続かない

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体験の質を上げるには、たとえば、終了後に講師のもとへ行き、短い時間の中で簡単な自己紹介と短い質疑応答をし、講演が終わった後にもメールやSNSなどで連絡を取り合う関係になるということが考えられます。講師にとって意味のあるやり取りでなければ続きませんので、こちら側の持っている情報や知識の質も問われることになります。

また、特定の業界やジャンルの講演会に行くと、必ず来ている参加者がだんだんわかってくる、ということもあります。そうした参加者に声をかけ、情報交換をするといったことも質を高めるために有益ではないかと思います。

まずは「目標の種」を見つけよう

少し大がかりな目標の話だ、と思われたかもしれません。もちろん、大きな目標だけを立てることが大切なのではなく、ある目標について、それをいくつかの段階に分け、今年はここまで達成しようという形で1年の目標を立てることもとても有意義なことです。

ただ、目標を立てようと考えて設定するのではなく、自分が目標を定めるきっかけとなるような体験・経験をする中で目標の種を見つけ、それを徐々に育て、少しずつ明確化していく目標の立て方と達成の仕方であれば、身体で感じる目標になり、継続することに苦労しなくなるので、実現の可能性が一層高まるように思います。

今年は、新年の目標としてまず「目標の種を見つけられる可能性がある体験の質と量を増やす」ということを目標にしてみてはどうでしょうか。そうは言っても、どのような体験が目標の種になり、どう質と量を増やせばいいのか、わからないかもしれません。それには「去年の自分だったらやっていなかったことを今年はやってみる」ことをお勧めします。

上述した私の体験に共通することは、自分にとって新しいこと、そして必ずしも仕事上必要がないことに対して興味をもって取り組んだということです。海外研修派遣については日々の仕事のほかに準備の手間をとらなければいけませんでしたし、NPO に来た女性の話についても、その仕事をしていくうえで必ずしも必要ではありませんでした。

ですが、仕事であるかどうかを度外視し、プライベートの時間を割いたことが結果的に今の自分のキャリアを作っている、と感じます。そして、その「報酬」は仕事の面に限りません。

目標を立て、それを達成することの意味は、言ってみれば思いもかけない自分になる「自分トランスフォーメーション」を起こすこととも言えます。一度きりの人生ですので、5年後、10年後の自分が今は思いつかないような状況に「トランスフォーム」していることを想像しながら、まずは目標を立てるための体験・経験を積み重ねることを今年の目標にしてみてはいかがでしょうか。

川端 康夫 アクティブビジョン創業者

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かわばたやすお / Yasuo Kawabata

1992年電通に入社。長らく営業部門にて電器メーカーや通信系の企業、NGO/NPO等を担当。その後KDDIへ出向し、新規事業立ち上げやベンチャー投資・育成に関わる。2013年には英国のタクシーサービス企業Hailo(ヘイロー 現・myTaxi)へ、KDDIオープンイノベーションファンドからの投資を担当するとともに日本法人COOとして国内の事業を立上げた。KDDIにて5年間余り勤務した後に独立し、2017年にアクティブビジョンを設立。主な得意分野は、IT全般、ソーシャルメデイアマーケティング、社会起業家支援、通信業全般、ベンチャー投資・育成など。2015年より始めたランニングはフルマラソン・サブ5完走レベル、航空業界・旅行業界等の知見もある。

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