そこに、自分のロールモデルとなるキャリアの歩み方をする人が目の前に現れたのです。この時以来、私にとって50歳前後で会社をいったん辞め、次のキャリアに移ることが、人生の後半を充実させるための大きな目標となりました。
この時点では具体的に辞めた後どうするかは十分なイメージがありませんでしたが、50歳を目標に会社を辞め次の仕事に移れる状況を作らなければいけない、ということは、その後実際に会社を辞めるまでの15年ほどの間、ずっと持ち続けてきたいわば目標だったのです。
こうした長期の目標があれば、折に触れて自分が会社を辞めた後どうやったら食べていけるのかを考えるのはもちろんですが、会社を辞めてまで次に自分がやりたいことは何だろう、ということも当然ながら考えることになります。
この「50歳で会社を辞める」という目標があったおかげで、実にさまざまなことを考えるようになりましたし、会う人との話の中にもヒントを見出すようになり、自分の行動もそれによって変わったのだと思います。結果的には偶然が重なって、49歳最後の日に退職が確定、ちょうど50歳と1カ月で退職し、目標を達成したのでした。
「体験の量」だけでなく、「質」も重要
このように、自分のリアルな体験に裏付けられた目標設定は、短期的には達成されないかもしれませんが、長ければ5年、10年というスパンで最終的に自分の望むもの、つまり目標が達成されていくという感覚があります。「目標」というよりも「希望」とか「夢」という方が近いかもしれません。
ご紹介した例では、具体的に誰かと出会ったり、自分が行動を起こすことによって、いってみれば目標の種が生まれ、それが徐々に育って時間をかけて実現したと言えるでしょう。
こうした目標を立ててそれを実現するには、新年の時期だけ目標を考えるのではなく、「この先どう過ごしていきたいか」「何を達成したいか」という目標について折に触れて考える必要があると思います。そして、その実現のために必要な行動をとり、体験を重ねていかなければなりません。
こうした行動や体験の機会を増やすことが、長期目標を達成するには必要ですが、この時考えないといけないのは、「体験の量」だけでなく、「体験の質」を高めることです。
例えば、自分が目指したいキャリアに役立つ業界知識や人のつながりを得るために講演会に行くとしましょう。この時、講演会に行く回数を増やすのは大事ですが、講演会に参加してもメモも取らずに聞いただけで満足してしまう、終わったらそのまま帰ってしまう、ということでは講演会にいっても意味がない場合があります。
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