「GDPより長寿大国」日本が世界をリードできる訳 何歳でも輝ける「新資本主義」ライフシフト社会

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今の私たちの状況もこの時と似ています。だからこそ社会の変化を目にすることになるでしょう。そして仕事や企業に関するこれまでの議論は通用しなくなるでしょう。

特定の会社に所属し、決められた場所に行き、決められた時間働くという仕事の定義が消滅していくでしょう。これは資本主義における大きな変化です。

若い世代はキャリアの中で、複数の会社で仕事をすることになるでしょう。時には独立して自営業になることもあるでしょうが、自分の健康、人間関係、スキルを維持することにも責任を持つようになり、資本主義における会社の重要性は低下していきます。

会社が消滅することはないでしょうが、私たちを導くために果たす役割は変わります。特に日本では、市場や資本主義のあり方が大きく変わることになるでしょう。

失敗してもいいというマインドセットが必要

リンダ:日本では珍しい女性起業家である平野さんは素晴らしいと思います。日本の起業率が世界の先進国の中で最も低いことはご存じでしょう。

リンダ・グラットン/英ロンドン・ビジネススクール経営学教授。人材論、組織論の権威で、2015年に同校の卓越教育賞を受賞。世界で最も権威ある経営思想家ランキングであるThinkers50では、世界のビジネス思想家トップ15にランクイン。18年には安倍晋三元首相が「人生100年時代構想会議」のメンバーに任命。著書に『ワーク・シフト』など(撮影:尾形文繁)

私は安倍晋三元首相の諮問委員会で人生100年時代を議論しており、その際にこのことを詳細に検討しました。100年生きるのであれば柔軟性が欲しいですし、大企業で働くだけでなく、自分の会社を立ち上げる能力が欲しいですよね。

起業する人が増えるのは日本にとって素晴らしいことだと思うのですが、なぜそうならないのでしょう。起業しやすい国と、そうでない国があるのはなぜでしょうか。

これについて非常に明確な調査結果があります。その1つが「リスクテイク」です。

カリフォルニアのシリコンバレーにいる若者たちと比べて、東京の若者たちはリスクを取ることを嫌い、失敗を心配し、リスクを取って失敗したときには、そのことについて気に病む。一方シリコンバレーでは、リスクを取って失敗したとしても、それを学習の機会として見なすのです。

リスクを嫌うマインドセットを変えるには、人々をサポートすることが重要になります。マルチステージの人生を送るためには、失敗してもいいというマインドセットが必要なのです。『ライフ・シフト2』ではそのことにも触れています。

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