「GDPより長寿大国」日本が世界をリードできる訳 何歳でも輝ける「新資本主義」ライフシフト社会
また、テクノロジーを使って仕事をより面白くし、人間のスキルを最大限発揮し、人生をより良いものにするにはどうしたらいいでしょうか。ロボットが家でお年寄りの世話をしてくれるのは素晴らしいことですが、人間が望んでいるのはそれだけではない。これから登場するテクノロジーは、人間のニーズを満たすためのものでなければなりません。
繰り返しますが、日本は高齢化社会ですから、これらが絶対的な鍵となります。要するにGDPは重要なのですが、より幅広い価値観、特に私たちがどのように年齢を重ねていくかや、健康も非常に重要になってくるということです。
そして人口の減少に伴い、テクノロジーを最大限に活用しながら、生産性を高めつつ仕事を増やしていくことも重要なのです。
日本は新しい資本主義の姿を世界に示せる
平野未来(以下平野):おっしゃるとおりだと思います。GDPは非常に重要ですが、日本は新しい資本主義を世界に示すことができると私は考えています。
私は新しい資本主義には3つの要素が大切だと考えています。1つ目は経済資本で、これはGDPに近いものです。2つ目は、人的資本です。これは性別、年齢、人種など、さまざまな多様性を包摂するものです。そして3つ目は自然資本です。人間は地球の限界を超えて資源を使っています。自然資本を経済資本に変え、地球にマイナスの影響を与えているのです。
私たちは本当にマインドセットを変える必要があります。私は、自然資産も資本主義の一部として考えていきたいと思っています。
アンドリュー:私たちの生活はテクノロジーによって形作られており、さまざまな新しいテクノロジーが登場しています。
『ライフ・シフト2』では、産業革命が起きたとき、例えば英国では、革命前半期は社会にとっては良くないものの、経済にとっては良かったという話をしています。人々は田舎から都市に移り住み、健康状態は良くなく、ネットワークやアイデンティティー、コミュニティーを失ってしまったのです。
彼らは週6日、12時間のシフト制で非常に長い時間働いており、労働環境は最悪でした。政治的不安があり、政治は改革を推進しようとしました。社会的課題に取り組まなければならないという社会運動も起きました。そして、後半期にはよりバランスの良い状況が実現しました。