日本人はエネルギー問題の大潮流をわかってない 消費者としてどう行動するかが問われている
トヨタ自動車はハイブリッド車が世界で最も優れていると信じているため、なかなかEVに切り替えることができない。たしかに、少し前までは走りながら電気を作れて、燃料効率もいいのはハイブリッド車でしたし、EVで使用するリチウム電池を製造する際に、CO2を排出するのだから、環境にはよくないとも言われていました。
しかし、新しい統計では、最初の何年かはハイブリッド車のほうがCO2の排出が少ないものの、燃料電池の寿命も延びているため、数年後にはCO2の排出量は逆転します。ヨーロッパでは、2030~2035年にハイブリッド車を含めて内燃機関(エンジン)の車は売ってはいけないことになります。
日本では選挙行動も消費行動もワンパターンすぎる
消費者の意識の差が、ここでも表れます。日本では、選挙の投票行動も日々の消費行動もワンパターンになりすぎているんですよね。それはメディアのガラパゴス化も影響していて、世界は気候変動を軸に議論しているときに、日本は内輪ネタばかりを話し合っている。メディアの意識変化も重要ですが、普段の消費者行動でわれわれが1票をつねに投じる意識を持つことが、まずできる行動です。
村上さんの著書で提案されているように、5%の消費者が変われば世の中は変わると私も思います。日々の買い物で考えながら、選択できる消費者になっていきましょう。
村上:世界はEVを前提に、インフラを整え始めています。EV化が進む国とそうでない国では、エネルギーのインフラの作り方が根本的に変わります。単にEVが普及するか否かではなくインフラやエコシステム全体の問題です。
ガラパゴス化しない意味でも、超大規模産業における事業機会を創出しない意味でも、日本でも、先ほど話した「エネルギーの地産地消」など、EVを前提としたインフラ整備を本気で議論していくべき時期にきています。
そしてこれからいちばん大切なのは、未来を想像する力だと思います。価値観を与えられる時代ではなく、新しい価値観を生み出していく時代だからこそ、自ら考える人を育てていく教育がより求められます。考える癖がつけば、消費への意識も変わる。新しい社会において、主役は私たち消費者であるという意識で過ごしていきたいですね。そうすれば日本は必ずいい方向に向かうと私は信じています。
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