反ワクチン活動から足を洗った彼女が気づいた事 本当に欲しいのは「仲間」だったのかもしれない

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――震災を機に物理的な距離ができたんですね。それまで、うっすら「おかしいな」と思われていた気持ちは、はっきりとした「おかしいな」に変わったんでしょうか。

そうです。反ワクチングループの人たちと距離ができると同時に、子どもが小学生になって少し余裕ができたこともあり、他の保護者の方たちと話すことが増えました。そうしたら、すごく閉鎖的なグループで、まったく根拠のない話ばかりをしていたことがわかってきて、おかしいと気づきました。

それなのにすぐにワクチンを接種しに行けなかったのは、すでに接種時期が過ぎていたからどうしたらいいかわからない、どこかに相談すると田舎だからウワサになるのでは、と思ったからです。よく考えたら、専門家がウワサを広めることはないと思うのですが。

「私の気持ちなんかより、子どもの将来や健康が大事」

――だけど、ある日、別の用事で訪れた保健センターで、急に相談することができたんですよね。

はい。まったく別の用事で保健センターに行き、用事を済ませたあと、気がついたら「12歳の子どもにワクチンをほとんど打たせていないので、打たせたいんです」と、するっと口から言葉が出ていました。

ひとつは子どもが中学生になったことで、もう猶予がないと考えていたからだと思います。また、もうこの時にはワクチンを打っていないと、旅行や留学などで行けない国や地域が出てきてしまったり、医師や看護師などの医療職や学校の先生などの教育職に就けなかったり、運悪く感染すると最悪の場合は死に至ってしまうことを知っていましたから。

親のせいで子どもがどこかに行けなかったり、就きたい職業に就けなかったり、命を失ったりしたら最悪です。私の気持ちなんかより、子どもの将来や健康が大事。どうして、そんな簡単なことに気づけなかったんだろうと反省しました。

――保健センターの方は、どんな反応だったのでしょうか?

ただ、すんなりと「そうですか。じゃあ、こちらにどうぞ」と椅子をすすめて、まずはコーヒーを出してくださいました。「なんでワクチンを受けさせなかったんですか」と叱られることよりも、私は「え? 信じられない」といったふうに驚かれるのが怖かったんです。

保健センターで作ってくれたワクチンリストを母子手帳に貼っている(写真:おかみさん提供)

でも、そんなことは全然なく、普通の受け答えをしてくださいました。そして急なことで母子手帳を持っていなかったのですが、記録から未接種のワクチンの種類を調べ、年齢に合う量などを問い合わせてリストにしてくださって。さらに近くの地域のかかりつけ医に連絡してくださって、とてもありがたかったです。

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