「コロナは陰謀」と信じる人々を生む深刻な病巣

排除され孤立している彼らが自尊心を守る為に

そこに飛びつくのは、ハリウッド映画さながらのドラマティックな物語性を生きることができるからである(写真:AsiaVision/iStock)

「新型ウイルスはフェイクだ」「コロナはただの風邪」「パンデミックは政府とメディアが仕組んだもの」――。

このようなフレーズで「反自粛」を呼びかける動きが欧米だけでなく、日本でもソーシャルメディアを通じて集会を組織するなど先鋭化しつつある。今はまだ一部の人々にとどまっているが、自粛の反動として今後拡大していく恐れがある。

いわゆる「コロナは存在しない」といったデマはすでにEU(欧州連合)のレポートで報告されている通り、誤った予防法や治療法と同様に海外の情報源からも流布されており、公衆衛生上の危機を助長することを狙ったものであると推測されている。コロナがデッチ上げだと信じて疑わない人々が増えれば、感染防止対策に取り組まない人々の影響力は強まり、当然ワクチンを接種しない人々も広がることとなり、その国の感染状況は目も当てられないものになる可能性が高いからだ。

陰謀論の裏にある社会的孤立の問題

こういった一種の陰謀論的なコミュニケーションがはびこってしまう背景には、身近な人間関係の消失によって生じる社会的孤立の問題も見え隠れしている。「自分は社会から排除されている」「自分は社会でふさわしいポジションを与えられていない」と感じている者ほどのめり込みやすいからである。ここには「ニューノーマル」に適応したマジョリティを嘲笑うことによって、自らの地位の上昇を果たそうとする強固な自意識に支えられているだけに非常に厄介なのだ。

イギリスのBBCは今年4月、アメリカで起こった反ロックダウンデモについて、「封鎖すべきじゃなかったんだ。でっちあげなんだから」「政府は新型ウイルスを利用して感染者数を水増ししていると思います」などという参加者の声を取り上げた(「ウイルスはフェイクだ!」 米国で経済再開求めるデモ相次ぐ/2020年4月22日/BBC)。

現在も世界各国において程度の差こそあるものの、この種の発言を繰り返して「反自粛」「反マスク」「反ソーシャル・ディスタンス(社会距離)」を実行する人々が増加している。もちろん、欧米諸国では、ロックダウンなどの私権制限について「自由の侵害」「基本的人権の無視」などといった文脈から批判する人々が主流なのだが、そこには「新型ウイルスは存在しない」といった陰謀論的な発想を持つ人々も少なからず含まれており、コロナ禍で浮き彫りになった政府に対する不信感と絡み合って事態をややこしくしている。これが外国の敵対勢力にとっては好都合な状況になっているのである。

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