全国で“第2波”として再燃している新型コロナウイルス。中でも新規感染者数、そして陽性率の急増で懸念されているのが名古屋市を中心とする愛知県だ。東京、大阪に先んじて苦闘した“第1波”とはさまざまな面で状況は違うが、その捉え方を含めて不安と混乱が広がる。
名古屋の「錦三」で集中的なクラスター対策
県内の新規感染者数が110人に上った7月28日夜、大村秀章知事は名古屋市最大の繁華街、中区錦三丁目の通称「錦三(きんさん)」地区を巡回。「感染拡大防止活動」と書かれたビブス姿で「感染予防策をお願いします」と啓発チラシを配り歩いた。
錦三では同日までにカラオケバーや接客などを伴う飲食店で3つのクラスターが発生し、延べ90人以上の感染者が確認されている。大村知事は「若い方が圧倒的に多く、ほとんどが軽症、無症状。いわゆる夜の街で感染が広がっている。東京、大阪よりもその傾向が鮮明に出ているのではないか」として直接の注意、啓発に乗り出した。
これに対し、知事からチラシを受け取った居酒屋関係者は「繁華街が狙い撃ちをされているようだ。多くはマジメに働いており、生活の補償も含めて何とかしてほしい」として、路上で切々と訴える場面も。
別の通り沿いのキャバクラ店員は取材に「うちは検温や消毒など感染対策はやっている。でも4連休あたりから人通りがめっちゃ少なくなり、今の客入りは普段の半分以下。どうせなら緊急事態宣言をずっと続けてもらえればよかった」とマスクからのぞかせる顔をしかめた。ただ、大村知事はこの時点では再度の休業要請やクラスターが発生した店の店名公表などには慎重な姿勢を示していた。
東京・歌舞伎町での感染拡大を受け、名古屋市も足元の錦三地区で積極的なPCR検査を進めた。一方、錦三だけでなく、名古屋の他エリアでも居酒屋を含む飲食店で続々と感染者が確認され、職場や家庭内感染が疑われるケースも散見され始めた。感染経路不明者も半数を超えるようになった。
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