ワクチン接種「子供にも絶対」という風潮への疑問 同調圧力で思考停止せず各人が冷静に判断を

✎ 1〜 ✎ 145 ✎ 146 ✎ 147 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
薬害運動のリーダーが危惧する日本社会の同調圧力とは?(写真:Carl Court/Getty Images/Bloomberg)
この記事の画像を見る(2枚)
新型コロナワクチンの接種が進んでいる。政府は「11月までに希望する全国民への接種」と掲げ、これから子ども・若者への接種も本格化していく。一方で、接種するワクチンはこれまでになかったメッセンジャーRNAという新しいタイプなだけに、長期的な安全性が担保されているわけではない。重症化リスクの低い子ども・若者への接種はどう考えたらよいか。医薬品の薬害と向き合ってきた「全国薬害被害者団体連絡協議会」の勝村久司・副代表世話人は、「リスクとベネフィットを十分に知ったうえで慎重に判断すべき」と訴え、ワクチン接種至上主義に警鐘を鳴らす。

若い人たちが冷静に判断できる環境なのか

――新型コロナワクチンの若年層への接種について、どのように考えていますか。

重症化する割合が少ないのにもかかわらず、10~20代の若い人にも接種する意義があるのか考える必要がある。若い人にも接種を勧めている論調のほとんどは、「家族への感染を防ぐため」という理由だ。「中高年の家族が感染し重症化しないために」という理由ならば、中高年へのワクチン接種に集中すべきである。

だが、そうならない本当の理由は、社会が「新規感染者数を減らしたい」ということにこだわりすぎているからではないか。もし、毎日、大きく報道される数字が「新規感染者数」ではなく、「重症患者数」ならば、若い人へのワクチン接種を急ぐ必要はないだろう。

勝村久司(かつむら・ひさし)/全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人。1961年生まれ。京都教育大学卒業。大阪府の府立高校教員。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の「医療安全対策検討ワーキンググループ」や「中央社会保険医療協議会」、日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任

新型コロナワクチンでは、国やマスメディアが「若い人も、とにかく接種しろ」と大号令をかけている感がある。ウイルスの漠然とした不安をあおり、「家族やマナーを大切にしたいならば接種すべき」といわんばかりの同調圧力もあり、若い人たちが冷静に判断できる環境なのか、非常に疑問を感じている。

――すでに職域接種で大学生への接種が行われています。また、接種対象も12歳以上に引き下がり、一部の自治体では小学生や中学生が接種しています。

高齢者や医療関係者から始められた接種による副反応疑いの事例が厚生労働省のホームページに公開されているが、多くの人が接種直後の発熱や全身の倦怠感、腕の痛みなどを経験している。一方で、それらに比べて頻度は低いだろうが、深刻で重篤な疾患も副反応疑いとして報告されている。アナフィラキシー、心筋炎・心膜炎、脳出血など、命に直結する疾患だ。なかには、ワクチン接種との関連性が指摘され、日本でも添付文書が改訂されるに至っている。

次ページ子どもは副反応の予測がしにくい
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事