私たちの“耕さない田んぼ”には、耕す田んぼとは比べものにならないほどたくさんの生き物がいます。それらは子どもたち、孫たちに申し送らなくてはいけない日本の大事な遺産だと思っています。
植物プランクトンが豊富な“耕さない田んぼ”は、サヤミドロという藻が大量に発生します。これらが光合成を行い、水の中に酸素を溶け出します。酸素の多い水は生き物の格好の住みかですから、やがてミジンコや微生物が発生します。そして、それを食べるタニシやオタマジャクシが現れます。
そうした食物連鎖で生き物がどんどん増えていきます。初夏に田んぼを歩くと、たくさんのトンボで景色が霞むほどです。稲刈りの時期にはサギも来ます。
こうした生き物いっぱいの田んぼを、市民農園でできればとチャレンジを始めました。
畑には市民農園がありますが、田んぼにはありません。育苗など熟練した農業技術が必要だからです。しかし、1カ月かけて苗を育てるといったことは、私たちプロの農家が行い、田植えや若干の草取り・稲刈りは市民が行うという形の市民農園を試験的に始めました。
今年は10人ばかりでやっていますが、将来的には400~500人ぐらいでやりたいと思っています。