岩澤信夫 その4【全4回】 田んぼはコメの工場ではない 生き物の命を預かる場所だ

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田んぼは生き物の命を預かる場所、というのが私の考えです。

現在、絶滅危惧種の多くは、里地里山、つまり水辺周辺にいるそうです。水辺の最たるものが田んぼです。今年は10月に名古屋でCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が開かれます。生物の多様性を言うのであれば、田んぼを大事にすることから始めるべきだと思います。

人間は稲に対して大きな間違いをしているのではないでしょうか。今の人たちには、田んぼはおコメを作る工場という感覚があるようです。おコメを収穫するためなら、農薬や化学肥料を使ってもいいと。そして農家はトラクターやコンバインなど農業機械を上手に使うことを第一に考え、稲作りのことは二の次になっているようなところがあります。

何千年の稲作りの歴史の中で、農薬や化学肥料を使うようになったのはこの数十年、私たちの世代が始めてしまったのです。だから私は贖罪の意味を込めて、それらを使わない安全な作り方を見つけ、子どもたち、孫たちに伝えていかなくてはいけないと思っています。

私はがんを患いましたが、生き延びています。神様から「お前、やり残したことがあるぞ」と言われているような気がして頑張っているのです。

いわさわ・のぶお
1932年千葉県成田市生まれ。旧制成田中学(現・成田高校)卒業後、家業の農業に従事。
スイカの早期栽培に成功した後、コメ作りを研究。長年の試行錯誤の後、耕さない田んぼで、農薬も肥料も使わずに多収穫の稲を作ることに成功した。日本不耕起栽培普及会会長。

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