国立社会保障・人口問題研究所が行った「全国家庭動向調査」によると、「夫が外で働き妻は主婦業に専念」など、これまで減少していた伝統的な価値観を支持する人の割合が、妻の間で増えてきている。
同調査は、1993年から5年ごとに実施され、2008年7月に行った今回の調査が4回目。回答を得られた配偶者のいる妻6870人が対象だ。「夫は外で働き妻は主婦業に専念」を支持する人の割合は、93年には賛成、どちらかといえば賛成が計53.6%だったが、03年には41.1%まで低下していた。ところが、今回は45.0%に上昇、減少傾向に歯止めがかかった。
03年に賛成する割合が低下した「子どもが3歳くらいまでは、母親は育児に専念」「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく」も、今回はそれぞれ85.9%、73.5%と、03年に比べて増加した。
年齢別で見ると29歳以下の妻の間で専業主婦を支持する割合が47.9%と前回調査より12.4ポイント増、「母親は育児に専念」も81.7%と同12.2ポイント増、他の年代と比べ支持する妻の割合が増加している。
こうした背景には、競争社会への反動などから就業への前向きな姿勢が低下したことが考えられる。だが、専業主婦という伝統は、終身雇用と年功序列賃金が機能した時代でこそ成立しえたもの。日本型雇用の維持は風前の灯火となる中、意識の変化が今後どう起きるか注目される。
(『東洋経済 統計月報』編集部 =週刊東洋経済2010年7月24日号)
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