「最安値を求めてネット検索」が不幸につながる訳 現代人が陥りがちな「人生をダメにするワナ」

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例えばですね、仕事に使う携帯電話もパソコンも、これまでは会社がタダで貸与してくれていた。通信費も会社持ちだった。でも辞めれば当然、すべて自分持ちである。仕事のための交通費も宿泊費も同様。郵送費も本などの資料代も自分で捻出しなければならない。もちろん家賃の補助などあるわけもなし。

つまりは、これまでは仕事の経費といえば会社が払ってくれるものであり、私は「経費で落とせるかどうか」だけを気にしていたわけなんだが、今や、経費を払うのは「自分」なんである。仕事をしようと思えば、経費の分は他の誰でもない自分が稼がなきゃどーにもなんないんである。で、その稼ぐあてが当面のところ全然ないんである!

……いやね、こんなこと、自営、あるいはフリーでやってる人には常識中の常識なんでしょうが、人生といえば「サラリーマン人生」のこととしか思っていなかったアホな私には、この基本的なことが、実際に会社を辞めるまでこれっぽっちも理解できていなかった。

まったく人とは(っていうか私とは)おそろしく愚かな生き物であるヨと今さらながらに気づいたがもう遅い。

で、慌てて試みたのが、当然ながら「経費削減」であります。

そうコストカット。一人カルロス・ゴーン。当然だ。だって収入はとりあえずゼロなんだもん。そして年金が出るまでには10年以上あるのだ。その間の収入はまったく保障されていないのである。となれば、何はともあれ支出は1円でも減らすべく全神経を集中させねばならない。

一円でも安い「名刺」を探して気づいたこと

で、まず取りかかったのが「名刺作り」である。

いやね、これもお恥ずかしい話、会社を辞めたら名刺を自分のお金で作らなきゃならんのだと気づいたときは、それだけでひどくショックを受けた。社会に出て以来、名刺とはトーゼン会社が作ってくれるものだった。いやはやこんな細かいところにも支出が発生するのか! 

衝撃のあまり「名刺なんてそもそもいらないんじゃ……」という考えも頭をよぎったが、日本のビジネス慣行を考えれば、初対面の人に名刺をいただいてこちらは何も出さないのはどう考えても「失礼」にあたる。

これはやはりまずい。だってこれからは何の後ろ盾もなく一人でやっていくのだからして、ゼロから信用を積み上げていかねばならないのだ。いきなり失礼を働いている場合ではない。となれば、金は惜しいがやはり名刺は作らねばなるまい。

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