なぜ総菜盛り付けに特化?専用ロボ開発の舞台裏 働き手いない問題にロボ開発で挑むエンジニア

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でも、食べることは人間にとって必要不可欠な行為。食品生産・製造に関連する仕事が、今後なくなることはありません。

それなのに食品工場で働く人がいなくなるということは、安定した食品の供給が難しくなる可能性があるということ。そのような事態は避けなければいけません。

そんな食の社会課題をロボットで解決しようというのが『Foodly』の試みです。

『Foodly』は「お弁当・お総菜の盛り付け」に特化したロボットで、ディープラーニングを活用した AI Vision Systemにより、ばら積みされた食材を1つひとつ認識してピッキングし、弁当箱・トレイに盛り付けすることが可能です。

──人の仕事を完全に受け渡すのではなく、「人とロボットが共に働く」というコンセプトも『Foodly』の特徴の1つですよね。

ええ。人はさまざまなノウハウや、いわゆる“職人技”を、経験を重ねるごとにアップデートしていきますよね。人をすべてロボットに置き換えてしまうと、そうした人ならではの「技の進化」が生まれなくなってしまいます。

あえて現場に人を残すことで進化を止めず、さらにその技術をロボットが学ぶことでAIも成長していく。そういう世界を実現するために、「人とロボットの協働」にこだわっているのです。

ディープラーニングで高度な画像認識を実現

──『Foodly』開発にあたってのこだわりポイントは?

1つは、盛り付け動作の正確性です。

実は食品の盛り付けは、ロボットにとっては非常に難しい動作なんですよ。

お弁当や総菜の製造ラインでは流れてくる食品が1日に何度も変わります。さっきまではカボチャの煮物を盛り付けていたけれど、次はハンバーグが流れてくる、というように。

さらに同じハンバーグでも大きさや形はまったく同じではありませんよね。だから、食品1つひとつに合わせて形を正しく認識し、正確かつ丁寧につかみ上げなければいけません。

形の把握については画像認識の精度を高め、形のばらつきが大きくくっついて見えてしまいやすい「唐揚げ」のような食品であっても正しく認識できるように開発をしています。

説明用のイメージ。食品コンテナに積まれた食材が小さな個体の集合体であることを認識し、その1つを取り出して容器に盛り付ける。Google社のフレームワークTensorFlowを活用したディープラーニング(深層学習)により実現している(写真:Foodly紹介ページより)

盛り付ける動作に関しては、最初はハンバーグや肉団子など近い形状の食材10種類程度を基準に、だんだんと似たような大きさや硬さのものへ展開を進めています。最近は巻き寿司や千切りキャベツなど、丸い固形物以外の食材のピッキングにも挑戦しています。

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